空中秘密基地 2

映画や本の感想が中心です。当然ですが僕の主観と偏見で書いてます?

語り継ぐべき物語〜8月のレヴュー〜

8月のレヴュー。基準はいつものように主観と偏見だけ。

8月はどうしても戦争の記憶と結びつきます。東京大空襲や広島・長崎の原爆投下など、それを描いた映画は多く作られています。もう一つ忘れてはならないのは沖縄戦のことです。この戦いについては岡本喜八監督の『激動の昭和史 沖縄決戦』がとても濃い密度で描いています(誤解を恐れずに言えば、この映画はめちゃくちゃ面白い!)。そして今年の夏に沖縄の戦争について忘れられない作品に出会いました。三上智恵大矢英代監督『沖縄スパイ戦史』です。1945年6月に連合国軍の上陸により降伏した後も沖縄北部ではゲリラ戦、スパイ戦が繰り広げられていました。そしてその裏には身分を隠して沖縄の各地に潜伏していた工作員養成機関「陸軍中野学校」出身者42人の存在があったことについてのドキュメンタリーです。このことはあまり語られることはありませんでしたが、関わった人々の記憶には深く刻まれています。彼ら彼女らにとっての戦争はまだ地続きで存在しています。当然ですが登場する人たちはかなりのお年寄りばかりです。リアルな記憶を語れる人は遅かれ早かれいなくなるでしょう。こういう隠されてきた事実を記録して後世に伝えることも映画の大事な役割だと思います。必見の映画です。少しでもたくさんの人に観て欲しい。

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☆☆☆…観ないと後悔しますよ!
☆☆……ちょっと時間があるって時にどうぞ
☆………観なくていいかも
『劇場版コード・ブルー ードクターヘリ緊急救命ー』☆☆
→テレビでスペシャルとしてやれば十分だとは思うけど、日本の医療ドラマとしてちゃんと助けられない人もいることを描いているのは評価できる。ただ児玉清さんをオチに持ってくるのは反則かな?
『ゲッべルスと私』☆☆
→やはりハンナ・アーレントの「悪の凡庸さ」を想起せざるを得ない。こういう姿勢がナチスを誕生させたのだろうが、それは決して過去の話ではない。ただ同じような状況になった時に自分は抗することが出来るのか?と考えると、自信がないとしか言えないのも事実だったりする。
縄文にハマる人々』☆☆
縄文時代の不思議さを十分に伝えてくれるドキュメンタリー。一万年以上も前に作られた遺物が現代まで伝えられて来たことにただただ感謝。
ウィンド・リバー』☆☆☆
→カントリー・ノワールの新たな傑作。緊張、絶望、閉塞といったいろんな感情がスクリーンからビシビシ伝わってくる。事件が解決した後も、作中の人物たちの人生は続くのだというリアリティのある脚本が良い。
2重螺旋の恋人』☆☆
→ストレートな暴力描写がフランソワ・オゾンの映画にしては珍しいと思ったけど、結末はやっぱり十分すぎるほどのオゾンの映画だった。シンメトリーな構図や螺旋階段の描写などメタファーに満ちた画面構成は唸らせてくれる。それにしてもマリーヌ・ヴァクトの美しさよ!
ミッション:インポッシブル  フォールアウト』☆☆
→はっきり言うと、前作『ローグ・ネーション』に比べて脚本の粗さは否定できないけど、それでも作品ごとにどんどん進化していくトム・クルーズのアクションを観られるだけで大満足。トム走りも健在。走るだけで人を笑顔にするのはトム以外にはいないですよ。
オーシャンズ8』☆☆☆
→スピーディーな展開はいかにもオーシャンズシリーズらしい。全員が綺麗にドレスアップして颯爽と登場するシーンが、女性を主人公にした映画らしくて良かったな。凄腕スリ師を演じたオークワフィナさん。この人の名前を覚えて帰ってください!
スターリンの葬送狂騒曲』☆☆
→コメディだけど残酷描写もあって、国家の非情さもちゃんと描かれている。スターリン時代のソ連の歴史を勉強してから観るとより楽しめます。

ヒトラーを欺いた黄色い星』☆☆
→生き残った本人のインタビューとドラマを混ぜながら物語が進んでいく構成が面白かった。ナチス政権下のベルリンで潜伏していたユダヤ人の話は映画として初めて観たので興味深かった。人間ってしたたかだなぁ。
沖縄スパイ戦史』☆☆☆
→息がつまるようなドキュメンタリーだった。戦後70年が経つけど、語られていないことはまだまだある。その思いを強くした。その事実を掘り起こして記録したことだけでも、この作品には価値がある。必見。
菊とギロチン』☆☆☆
瀬々敬久監督の長年の思いがギッシリと詰まって爆発したような映画。189分という時間が短く感じられた。いろんな場面、いろんな意味で「時代と戦う人々」を描いている。どの役者さんの演技も素晴らしいけど(渋川清彦さんなんて涙なしには観られません!)、特にヒロインを演じた木竜麻生さんですよ!彼女はこれからあちこちで名前を聞くようになりますよ。きっと‼︎
追想』☆
→格調高いメロドラマだけど、僕には合わなかった。ただシアーシャ・ローナンは観る価値がある。『レディ・バード』の女子高生役とは全く違う演技の幅を感じさせてくれます。
タリーと私の秘密の時間』☆☆
→ヘッドホンや車といった小道具やそれぞれのセリフの隅々にまで丁寧に作り込まれていて、さすがはジェイソン・ライトマン監督だと唸ってしまう。すごいザックリ言えば母親が子育て中にある出来事を経験するって映画だけど、これは男性にこそ観て欲しい。シャーリーズ・セロンが『アトミック・ブロンド』の彼女と同一人物だとは信じられません。役者さんってスゲ〜な!

 

9月は『ザ・プレデター』と『MEG ザ・モンスター』しかないです!プレデターvsプレデター!巨大鮫vsジェイソン・ステイサム‼︎ 最高の時間が約束されているに違いない。

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日本の夏、強竜の夏〜7月のレヴュー〜

7月のレヴュー。基準はいつものように主観と偏見だけ。

1993年の夏に映画館で『ジュラシック・パーク』を観た時の感動は忘れられない。子供の頃にワクワクしながら図鑑で見ていた強竜たちが、まるで実際に生きているかのようにスクリーンの中で動いていた。

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そして2018年。今年の夏も映画館に強竜たちが戻ってきた!25年前と比べるとCGのクオリティは格段に進歩し、恐竜の実在感はより増してきた。もうお腹いっぱいだという声も聞こえないではないのですが、ジュラシック・シリーズを観るのは人類の義務だと思っています。ということでスキップしながら映画館に行くのです。だって動いてる恐竜を観るのは楽しいでしょ⁉︎

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☆☆☆…観ないと後悔しますよ!
☆☆……ちょっと時間があるって時にどうぞ
☆………観なくていいかも

ガザの美容室』☆☆

→すぐ隣で起きている狂気。それに日常で対抗しようとする女性の強さを感じた。彼女たちは抑圧されている存在かもしれないけど、その実はしたたかで強い。繋がれたトラはその象徴ではないか?人がバタバタと死んでいくことはないが、この作品は紛れもなく戦争映画だった。
バトル・オブ・ザ・セクシーズ』☆☆☆
→1973年を舞台にした話だけど、これは21世紀の今日だからこそ作られなけばならなかった映画だ。いつものチャーミングなエマ・ストーンはスクリーンの中にはいないけど、それがまた良い。「○○らしくあらねばならない」という考え方が、いかに人々を不幸にしてきたのかと改めて強く思う。
ワンダー 君は太陽』☆☆
→予告編を観た時は「あ〜いつもの難病、お涙頂戴か…」と思っていたら、そんな浅はかな予想を蹴っ飛ばしてくれる良作でした。特に主人公のお姉さんのエピソードを丁寧に描いていたのが素晴らしい。その描写が物語に深みを与えていた。
ジュラシック・ワールド / 炎の王国』☆☆
→ジャンル映画として最高だった。特に前半のパークが崩壊する場面はずっと体が強張るくらい面白い。ただ展開として次作へのつながりの部分が多いので、作品単体としてはこの評価。いずれベロキラプトルは喋り始めるんじゃないか?
『ワンダーランド北朝鮮』☆☆
北朝鮮での撮影ということで、当然ですが彼の国が見せたいものしか映っていない。でもそこには透けて見える現実がある。そこをもう少し踏み込んで欲しかったかな…と思う。北朝鮮のプールではビキニが禁止というのは初めて知った。
リチャード・リンクレイター  職業:映画監督』☆☆☆
→ハリウッドとは距離を置きつつも、コンスタントに僕たちの心に届く作品を撮り続けているリンクレイター監督についてのドキュメンタリー。彼を褒め称えるだけではなく、ちゃんと良い悪いの作品批評をしているところが良いね。監督の過去作をまた観たくなった。そしてこれからの新作も観続けようと決心した。
スウィンダラーズ』☆☆☆
→詐欺師の話で、絶対に騙されないぞ!と思って観ていたのですが、最後に「あーーっ!そうか‼︎」と膝を叩きそうになってしまったので、コチラの負けです。続編もありそうなので楽しみ。
未来のミライ』☆
細田監督はもっと出来る子のはずです……。映像はさすが!と思わせてくれるんだけどね。今作は自分には合わなかったということです。
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』☆☆☆
→前作で魅力的な音楽を聴かせてくれたミュージシャンたちが一人また一人といなくなっていくのは寂しいけれど、そういう悲しみを抱きながらも音楽は続いていくのだと深く思う。まさにNo Life No Music。
グッバイ・ゴダール!』☆☆
ステイシー・マーティンがとにかくキュートだ。女性から見たゴダールはとにかくダメ人間。その描き方が面白かった。この映画を観て、またゴダールの映画を観ると感想は変わってくるな、きっと。

ビューティフル・デイ』☆☆☆

→主人公がどういう人生を歩んできたのかなどを一切説明せずに物語が展開したり、作中の伏線が回収されずに終わったりと観客に解釈の大部分を委ねる作品だけど、この映画に関しては、そこにリアリティーを感じる。実際の生活なんてそんなものでしょ?原作からの改変部分もテーマ性をより浮き立たせていた。ラストの締め方も好きです。

 

8月も夏休み映画の季節だ!何はともあれ『ミッション:インポッシブル / フォールアウト』ですよ‼︎

エストム・クルーズ、イエス‼︎

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フィクションを作ることの意味って何だ?〜6月のレヴュー〜

なぜか6月のレヴューを書いた記事が消えてしまったので再掲。何を書いたのか?評価はどうだったのか?何も覚えていないので、前回とは☆の数が違ったり、違う短評を書いている場合があります。それも主観と偏見による今の感想だと思ってお許しください。

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6月のレヴューです。基準はいつものように主観と偏見だけ。

6月は『カメラを止めるな!』と『ブリグズリー・ベア』を同じ時期に観ることが出来るという幸せな月でした。テイストは全く違う両作だけど、「物語を作るということの意味は?」という問題について考えさせられる映画でした。フィクションでしか表現できない喜びは確かにあるし、フィクションを作ることでしか乗り越えられない悲しさもあります。それはまた同時に、僕たちはなぜ映画を観るのか?という問題とも密接に関係しているものです。これからも考察は続きます。

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☆☆☆…観ないと後悔しますよ!
☆☆……ちょっと時間があるって時にどうぞ
☆………観なくていいかも
ファントム・スレッド』☆☆☆
→服を作るという行為があんなにもエロいとは思わなかった。さすがポール・トーマス・アンダーソン
デッドプール 2』☆☆☆

→「正しきことを行う意味」というものを、あんなに下品に描いていることにスタンディングしてずっと拍手を送り続けたい。ライアン・レイノルズの過去の自分との決着のつけ方も最高。
犬ヶ島』☆
→不覚にも途中でウトウトしてしまった。本作だけじゃなく、ウェス・アンダーソンとは肌が合わない気がする。
恋は雨上がりのように』☆☆☆
→拾い物とはこういう作品を言うのだろう。本当に観て良かった!小松菜奈が走るシーンがあるんだけど、「女の子が全力で走る映画に駄作なし」と改めて確信した。大泉洋が相手役であることが物語が下品にならない要因だろう。得難い役者だなぁ。

ピーターラビット』☆
ピーターラビットってこんな話だっけ?と上映中ずっと思っていた。あれじゃ悪いのはウサギ達だとしか思えない。物語におけるリアリティー・ラインの引き方がブレていたと感じた。
万引き家族』☆☆☆
→2018年の日本で撮られるべき作品。家族も問題を描き続けてきた是枝監督の集大成のような映画だった。安藤さくらさんの演技にはただただ拍手。
『ラジオ・コバニ』☆☆☆
→目を背けたくなるような場面も出てくるけど、その絶望を乗り越えるための第一歩として声を届けようとする女性達の姿は美しい。
30年後の同窓会』☆☆☆
→何気ない会話を大事にするリチャード・リンクレイター監督らしい作品。人生のあり方をロード・ムービーとして描くところが実にアメリカ映画らしい。
『MIFUNE:THE LAST SAMURAI』☆☆
東宝時代の話が中心で、三船プロ設立以後にフォーカスが当たらなかったのが残念だった。それでも『用心棒』が黒澤・三船コンビの最高傑作だという主張には諸手を挙げて賛成する。
セラヴィ!』☆☆
→ダメ人間しか出てこない群像劇。冒頭のシークエンスが少し退屈だったかな。劇中の諸問題が一点に集中いていく後半は気持ち良い。物語の締め方も素敵で、さすがのフランス映画ですよ。
『ブリグズリー・ベア』☆☆☆
→人が大人になる過程で必要なこととは?という普遍的な問題を描いた佳作だと思う。ハデな作品じゃないけど、たくさんの人に観て欲しい。あの役にマーク・ハミルを持ってきたことが素晴らしい。
カメラを止めるな!』☆☆☆
→とにかく映画館に行って観て欲しい。そして何が起こっているのか確認して欲しい。知恵と勇気があれば何だって出来るのさ!

 

 

10年という時間の重さ〜5月のレヴュー〜

5月のレヴュー。基準はいつものように主観と偏見だけ。

アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー』

2008年の『アイアンマン』から10年、僕たちはこの瞬間に立ち会うために映画館に通っていたのか!という感慨しか湧いてこない。マーベル・シネマティック・ユニバースMCU)ありがとう‼︎ スタジオが積み上げてきたものがこの映画に見事に結実している。今まで少しづつ語られていたサノスというヴィラン(悪役)がその圧倒的な力をスクリーンで表した時、僕たちには何をするすべもなかった。アベンジャーズの一作目の時に「日本よ、これが映画だ」というキャッチコピーが物議を醸したけど、まさに今作には、これまで数少ない作品しか持っていない映画の醍醐味がある。
ただ言っておかなければならないのは、この『アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー』は物語の前半であるということ。2019年公開予定の「アベンジャーズ4』では、サノスが力を持って実現した彼なりの「正しい」世界を、ヒーローたちはどのようにひっくり返して行くのか?力で勝ってもそれはサノスと同じだ。そこにはヒーローならではの勝ち方が必要となるだろう。それは物語としてとても難しいことはわかっている。でもマーヴェルのスタッフは必ずやってくれるだろうと信じている。刮目して待つ。



















☆☆☆…観ないと後悔しますよ!
☆☆……ちょっと時間があるって時にどうぞ
☆………観なくていいかも
アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー』☆☆☆
MCUを10年間観続けてきて良かった!心の底からそう思えた。これを『アベンジャーズ4』でどんな終わらせ方をしてくれるのか?またまた死ぬわけにはいかない理由ができた。
パティ・ケイク$』☆☆
→ノリノリで観た。ただ世間に中指を立ててるだけじゃなく、周りを見ろよ、お前のことを思ってる友達はいるぞ!と言いたくなる。
ラッカは静かに虐殺されている』☆☆☆
→観て、知って、考えることが最初の一歩だ。観たくなくても観なければならない作品というものがある。これはそうした映画だ。
レディ・バード』☆☆☆
→故郷が好きでなく都会に憧れる主人公の姿が昔の自分と重なってしまい、懐かしいやら気恥ずかしいやら……。遠く離れ、年月を重ねることでしか、その大切さを理解できないものもある。誰にでもある普遍的な物語だ。
モリーズ・ゲーム』☆☆
→まずは情報量の多さに圧倒される。クレバーでタフなモリーを演じるジェシカ・チャステインを観るだけでも映画館に行く価値がある。ポーカーのルールを知っているとより楽しめるね。
孤狼の血』☆☆☆
→こんな映画を待っていた!まさに現代版の『仁義なき戦い』。役者さんたちも演じてて楽しかったんだなぁ…と思ってしまう空気がスクリーンから滲み出てくる。原作者が女性だと知って驚きましたよ。
ゲティ家の身代金』☆☆
→面白くはあったけど、『動き出したら誰にも止められない負の連鎖を描いた『悪の法則』のような怖さは無かった。そこは実話だから仕方がないか…。ミシェル・ウィリアムスを誰か幸せにしてあげてください。
サバービコン 仮面を被った街』☆
コーエン兄弟が脚本ということで期待したんだけどね……。展開が少しモッサリしていたかな?劇中で起こる事件が関係無さすぎて、それぞれのパートがお互いノイズになっていた。
カーキ色の記憶』☆☆
→2011年の内戦勃発前のシリア・アサド政権の抑圧についてのドキュメンタリー。「自由とは、受ける懲罰の種類を選ぶこと」という言葉がこの作品の全てを表している。
ランペイジ 巨獣大乱闘』☆☆
→ロック様がゴリラと会話する冒頭のシーンだけで大満足。☆が三つじゃない理由は、最後にロック様が巨大化して怪獣と戦わなかったから⁉︎(←なんじゃそりゃ)
GODZILLA 決戦機動増殖都市』☆
メカゴジラが期待した形態で登場しなかったのが残念でならない。次が三部作の最後。モスラキングギドラがが出てくるのか?地球最大の決戦なのか⁇
ラプラスの魔女』☆
広瀬すずが出る映画は全て劇場で観る主義ですが、そんな僕でも苦痛だった。ダメな方の三池監督の映画。原作未読だったんだけど、このままでは嫌いになりそうなので、原作買って帰った。
犬ヶ島』☆☆☆
→実にウェス・アンダーソンらしい映画。作品の密度が凄いです。犬の毛一本一本をストップモーション・アニメで描いていることに頭が下がる。日本描写もこれならOKです。「間違った権力に最初に抵抗するのが高校生」というストーリーも好きです。
『焼肉ドラゴン』☆☆☆
→泣きながら笑ってしまう…そんな映画だった。キャストの演技も印象深いものばかりだったけど、特に桜庭みなみさんは魅力的で、こんな演技も出来るのか?と嬉しい発見だった。キム・サンホさんが演じるお父さんが自分の過去を語るシーンはいつまでも記憶に残るくらい素晴らしいものだった。

6月は『デッドプール2』と『ハン・ソロ / スター・ウォーズ・ストーリー』を観ない理由が無いのです。俺ちゃんは前作の無茶苦茶をどれくらい飛び越えてくれるのか?こんなに毎年『スター・ウォーズ』を観ていると飽きてきた感がしないではないのですが、それでも期待してしまうのがファンという者の性、いや業なのですよ(でも今作のロゴは贔屓目に見てもカッコ悪い……)。


そしてもう一作。是枝裕和監督の『万引き家族』。カンヌのパルム・ドールを受賞したからじゃなくても必見です。

リアルタイムでスピルバーグを観られる幸せ〜4月のレヴュー〜

4月のレヴュー。基準はいつものように主観と偏見だけ。

スピルバーグの新作を同じ月に2本も観られるとは、こんなに嬉しいことはありませんよ。しかもどちらもスピルバーグしか撮れない作品であることがなおさら素晴らしい。両作品とも必見です!
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☆☆☆…観ないと後悔しますよ!
☆☆……ちょっと時間があるって時にどうぞ
☆………観なくていいかも
ペンタゴン・ペーパーズ 最高秘密文書』☆☆☆
スピルバーグの今撮らなければ!という思いがスクリーンから溢れてくるような映画。トム・ハンクスメリル・ストリープをはじめとする役者さんたちの演技も、今更ですがとても素晴らしい。この作品を語る時に、今の日本の状況との類似について考えずにはいられないし、またそうしないのは失礼な気がする。社会に対する不正が行われていると感じられた時に、それへの異議申し立てをエンターテイメントという形で表明できるアメリカのことが羨ましい。
トレイン・ミッション』☆☆
リーアム・ニーソンがトラブルに巻き込まれるも、まつげを八の字にして困った顔をしながら悪党を倒す。それだけで最高。ストーリーは粗がありすぎるけど、関係ないのです。
レッド・スパロー』☆☆
→頭脳派のスパイ映画。スパイを養成する過程をもっと描いてくれてたら、☆が一つ増えてた。二転三転するストーリー展開は面白い。ジェニファー・ローレンスの美しさに目を奪われるけど、彼女の真の魅力は声の強さにあると思う。
ナチュラルウーマン』☆☆☆
→強い人間の物語ではあるけど、必ずしもハッピーエンドにしないことで、現代におけるマイノリティの生きづらさが切実に観る者に迫ってくる。マリーナの人生に幸あることを願わずにはいられない。歌が彼女を支えるものになってくれればと思う。
『5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生~』☆☆
→人生で窮地に陥った時、助けてくれるのはやっぱり友達だと何度も何度もうなずく。
ワンダーストラック』☆☆
→ちょっと期待値を上げすぎたかな?時間軸が違う二つの物語が展開することで最初は戸惑うけど、その構造を理解すると面白くなる。美術館でのシーンが印象に残る。
『blank 13』☆☆
→映画館を出た時、無性に父親に電話したくなった。それだけでこの映画は成功してるんじゃないだろうか?
ジュマンジ / ウェルカム・トゥ・ジャングル』☆☆☆
→まさか『ジュマンジ』で泣きそうな気分になるとは思わなかった(←褒めてます!)。この映画の楽しさについて、何時間でも語りたい。
ダンガル きっと、つよくなる』☆☆
→極めて正しいスポ根映画。レスリングシーンは臨場感が半端ない。ただ父親のスパルタぶりは好きになれなかったかなぁ。
パシフィック・リム:アップ・ライジング』☆
→点数をつけるなら75点。ただし前作は500000000点。怪獣vs巨大ロボットではなくっていたな……。新しい登場人物たちに感情移入出来なかった。前作にあったようなケレン味あるシーンが無かったのも残念。
『タクシー運転手 約束は海を越えて』☆☆☆
→国にとって忘れたい出来事をしっかり作品にする韓国映画界の姿勢に拍手。ラストの映画的嘘も心地よい。
『レディ・プレイヤー1』☆☆☆
→これもまた『ペンタゴン・ペーパーズ』とは違った意味でスピルバーグじゃないと撮れない映画だ。成りたいものに成るんだ!という夢が詰まっている。絶対IMAX3Dで観なきゃダメですよ!「メガネをかける」という行為が物語世界と直結している。
『ラッキー』☆☆
→もう少し年齢を重ねたらもう一度観たい作品。その時ハリー・ディーン・スタントンのような爺いになっていたい。
女は二度決断する』☆☆
→最後にタイトルの意味がわかった時、なんともやりきれない気分になる。ダイアン・クルーガーの感情がダイレクトに伝わってくる演技が物語に深みを与えている。

5月は何と言っても『アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー』しかないです。MCU10年の歴史がどう結実するのか楽しみしかない‼︎‼︎

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ベテランと半魚人に泣かされる〜3月のレヴュー〜

3月のレヴュー。基準はいつものように主観と偏見だけ。デル・トロ、おめでとう‼︎‼︎‼︎


シャーロット・ランプリング(『ベロニカとの記憶』)、ドナルド・サザーランドヘレン・ミレン(『ロング、ロング バケーション』)、シャーリー・マクレーン(『あなたの旅立ち、綴ります』)といったベテラン俳優さんたちのいぶし銀の演技が楽しかった3月の映画だけど、やっぱり『シェイプ・オブ・ウォーター』ですよ!こんなに純度が高い作品に出会うことは滅多にあるもんじゃない。しかもそれがモンスター映画でですよ。はっきり言って、人を選ぶ作品かもしれない。でも同時に大勢に観て欲しい作品なのだ。

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☆☆☆…観ないと後悔しますよ!
☆☆……ちょっと時間があるって時にどうぞ
☆………観なくていいかも
リバーズ・エッジ』☆
→原作の雰囲気が無くなっていて残念だった。挿入されるインタビューのシーンがノイズになって物語が中断される。2018年の日本で撮る意味を感じることが出来なかった。
ブラックパンサー』☆☆☆
→マーヴェル映画の中でもベスト3に入る。ヴィラン(悪役)の設定が秀逸。現代社会の矛盾もちゃんと描いていて、さらにそれをどう乗り越えるか?というところまで語る。ワカンダ王国のヴィジュアルが細部まで美しい。
シェイプ・オブ・ウォーター』☆☆☆
→ギレルモ・デルトロ監督の思いがぎっしりと詰まっている。普遍的であると同時に、マイノリティーについての物語でもあり、今だからこそ作られるべき映画だったと思う。
『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目覚め』☆☆
→登場人物たちのポジティブさが微笑んでしまうくらい素晴らしい。境界を越えたところで人はどうやって繋がるのか?コメディーのふりをして、実は考えさせられる映画でしたよ。
15時17分、パリ行き』☆☆
→何も知らずに観た初回と原作のノンフィクションを読んでから2回目の鑑賞では印象がガラッと変わる映画でした。事件の当事者が自分自身を演じたことについても、映画の中と現実世界が地続きであることをより感じることができた。それでいて細部にはちゃんと佳境に向けての伏線を張っておく。さすがクリント・イーストウッドだ。
ベロニカとの記憶』☆☆
→ノスタルジックな映画かと思っていたら、上質のミステリーを読んでいるような感じにを覚えた。それでいて心あたたまるエンディングだった。少ししか出てこないけど、シャーロット・ランプリングの神秘的な美しさに目を離せなくなる。
ウイスキーと2人の花嫁』☆☆
→ウィスキーの在庫が無くなったことを知った時のオッサンたちの表情に爆笑。ストーリーは平坦でこれといった山場はないけど、こういう映画もたまには良いね。
『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』☆☆
→これぞインド映画!ただただ歌って踊って悪い奴はやっつけてを楽しんだ。
ダウンサイズ』☆
→メッセージ性が強く設定も斬新なんだけど……。それが上手く噛み合っていない。アレクサンダー・ペイン監督が好きで、期待していただけに肩透かし感が大きい映画だった。
坂道のアポロン』☆☆
→演奏シーンが良いってだけで音楽映画としてはOKだ。中川大志という役者さんを知ったことが大きな収穫。それにしてもエンドロールで小田和正を流すのか?小田さんが悪い訳じゃないけど、これはジャズについての映画なんだから、そこはジャズでしょ!
『ロング、ロング バケーション』☆☆
ドナルド・サザーランドヘレン・ミレンの自然体の演技は何度でも観たくなる。まだまだ子供の視点からこの映画を観てしまうけど、(辛いけどハッピーエンドを迎える)いつか二人の気持ちを理解するようになるんだろうか?と思った。
『ピンカートンに会いにいく』☆☆
→年をとるということは楽しいこともあるけど、それ以上にややこしいことも抱えるんだということを実感させられる。内容が新しかったり、撮り方が斬新なわけじゃないけど、「あ〜こういうことあるある」と思わざるを得ない。
『去年の冬、君と別れ』☆
→予想以上のことは何も起こらない映画でした。
ちはやふるー結びー』☆☆☆
→原作では描かれなかった「もう一つの『ちはやふる』」を見事にスクリーンに映し出してくれた。『上の句』『下の句』の様々なシーンが一つに集まっていく脚本が見事。日本の青春映画の歴史に残る傑作であります!

リメンバー・ミー』☆☆
→評判通り音楽は素晴らしいのですが、物語の構成(特にクライマックス)で首をかしげる場面が何箇所かあった。色鮮やかな死者の国の描写は見応えがあったけどね。
あなたの旅立ち、綴ります』☆☆
→ストレートに良い作品だった。ラジオ映画であり、ロック映画であるのも良い。何歳になっても旅は人を成長させるのだ。

  
4月は『パシフィック・リム:アップ・ライジング』と『レディ・プレイヤー1』と『アベンンジャーズ / インフィニティ・ウォー』がドンドンドーーン!とやって来る。

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頑張った映画は面白い〜2月のレヴュー〜

2月のレヴュー。基準はいつものように主観と偏見だけ。今年も韓国映画が熱い!

殺人者の記憶法』『悪女/AKUJO』『コンフィデンシャル 共助』。聞いたことがない斬新な設定や観たことがないフレッシュなアクション、そして「いい顔」の男たち。韓国映画の魅力です。予算だけが問題なんじゃなくて、知恵を絞ってるのか?ってことだと思うのですよ。そしてちゃんと頑張った映画は面白いのです。

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☆☆☆…観ないと後悔しますよ!
☆☆……ちょっと時間があるって時にどうぞ
☆………観なくていいかも
『羊の木』☆☆
→まず原作とのビジュアルの違いに驚くけど、映画としてこの改変は正解。役者さんは全員が素晴らしく、日常の中に非日常が入ってくることの怖さや驚き、そして少しの喜びがすごく感じられた。特にこの作品の優香は、優香史上で最高の優香だ。
デトロイト』☆☆☆
→観終わった後、胸に渦巻く感情をどう処理してよいのか困った。これはアメリカの過去であると同時に、世界の現在を描いている作品だ。ただこの映画ではアルジェモーテルの事件にフォーカスして描いているので、ここから1967年のデトロイト暴動のことを調べてみるのが良いんじゃないかな?ドメスティックスにあんな過去があったなんて知らなかった。
ジュピターズ・ムーン』☆
→難民や宗教の問題を寓話的に描くという意図はわかるけど、それが物語として上手く消化されてない。少年が空を飛ぶシーンにワクワクするような高揚感があったして、迫力あるカーチェイスもあったりしただけに残念だった。
スリー・ビルボード』☆☆☆
→傑作!人間の不完全さを思い知らされる。夜、遅い時間に一人で観て、いろんなことを考えながら帰りたい。そんな映画。
殺人者の記憶法』☆☆☆
→何と言ってもアルツハイマーの連続殺人犯という設定がフレッシュだ。この設定があるからこそ虚実が入り交じる物語を可能にしている。そしてその役を見事に演じているソル・ギョングが素晴らしい。

『記憶の幕が下りる時』☆☆
→途中で犯人が分かったとしても、最後まで観ることが出来るのは、原作の持つ力だろうか?阿部寛の加賀恭一郎は最高の当たり役だ続編を希望するけど、それも東野圭吾次第か⁉︎
はじめてのおもてなし』☆☆
→描いている内容はシビアだけど、それをユーモアで包んで楽しい作品に仕上げているところが良いね。自分たちの国の在り方を誇りに思っている登場人物たちが羨ましくも思う。
ライオンは今夜死ぬ』☆☆
→前半は退屈だったけど、主人公と子供達がいよいよ映画を作るぞ!ってなるあたりから面白くなった。彼らがみんなでご飯を食べる場面にはホッコリする。食事シーンが楽しい映画は良い映画。
静かなふたり』☆
→好きな人は好きだろうなぁ…。もっと古書のことがテーマになっている物語なのかと思っていただけに、その要素がほとんど無く残念だった。静かすぎる作品だった。
悪女/AKUJO』☆☆☆
→冒頭からずっと力が入りっぱなしでスクリーンを凝視していた。ストーリーは惜しいけど、アクションがそれを十二分にカバーしている。そんな映画もあっていい。
犬猿』☆☆
→映画の最初から最後まで監督の人の悪さしか感じない(←最上級に褒めてます)。厄介な人を演じさせたら新井浩文の右に出る人はいない。回想シーンは余計だった。
今夜、ロマンス劇場で』☆
→物語内のルールがよく分からず、ノイズになって楽しめなかった。確かに綾瀬はるかは可愛かったのだが、彼女もフィルモグラフィーはこれで良いのだろうか?そろそろ『海街diary 』のような等身大の役を演じる頃だと思う。

マンハント』☆
ジョン・ウー的要素は満載なんだけど、ただそれだけだった。追いかけっこのスケールも小さいしね。僕たちの好きだったジョン・ウーはもういないのか?
RAW〜少女のめざめ〜』☆☆
カニバリズムの映画であると同時に家族愛の映画であり子供が大人になる成長を描いた映画でもあった。それだけに最後のわかりやすすぎるオチは安易で残念。
『コンフィデンシャル 共助』☆☆☆
→同じ「国境を越えたバディ映画」として『マンハント』の遥か上をいく作品だった。観るならコッチだ。アクションとサスペンス、笑いのバランスが絶妙!

不能犯』☆

→「愚かだねぇ…人間は」マンガやアニメではOKなセリフも実写では滑稽でしかないことを再認識させられた映画。
『ロープ 戦場の生命線』☆☆
→理不尽と徒労感に満ちたこの世界だけど、そこをユーモア(と少しの諦め)で乗り切っていくのが大人でしょ!という映画だった。ベニチオ・デル・トロティム・ロビンスの掛け合いが楽しい。
『わたしたち』☆☆
→子供は天使なんかじゃなく、ある時は大人以上に残酷だということを思い出した。でもそれを見つめる監督の視線は繊細で優しい。もう僕たちが忘れてしまった世界がスクリーンの中にあった。
『聖なる鹿殺し』☆☆☆
→様々なメタファーにあふれた作品。何度も観て、誰かと語り合いたいと思える作品だった。音楽が物語を述べる上で重要な役割を果たしている。
グレイテスト・ショーマン』☆☆
→ストーリーの粗さを音楽の素晴らしさがカバーしている。でもミュージカルで最も大切なのは音楽だから、それで良いんじゃないかな?
ローズの秘密の頁(ページ)』☆☆
→『あなたを抱きしめるまで』と同じように、今まであまり語られることのなかったアイルランドの「歴史の暗部」を描いた映画だった。ルーニー・マーラを観るだけでも映画館に行く価値がある。

 

ホーム映画館の一つである横浜シネマリンで「大林宣彦監督傑作選 特集上映」をやっていたので、久しぶりに『ふたり』『あした』『あの、夏の日~とんでろ じいちゃん~』を観た。毎日泣いていた。この新・尾道三部作の頃の大林作品が一番好きだ。そりゃ昔は中嶋朋子とか石田ひかりとか高橋かおりとかの側から観てましたけど、今じゃベンガル岸部一徳峰岸徹嶋田久作に感情移入して泣いてしまいますよ。増田恵子につい…とかね。これが年齢を重ねたってことでしょうか?そのうち植木等とか小林桂樹の域に達することが出来るんだろうか?

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『ふたり』がいかに素晴らしい映画だったのか!ということを、このスチール写真以上に語ってくれるものはない。自分にとって大林宣彦作品のベストだ。実加は幸せに暮らしているんだろうか?と思ったりもする。また映画館で観ることができて本当に良かった。

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新・尾道三部作の少し前の作品である『異人たちとの夏』ぐらいから、大林監督の映画には「死」がより表に出てくるようになった感じがする。そしてそれは『花筐』までヴァリエーションを変えながら、ずっと続いているものなのだなぁ。

 

3月はアカデミー賞の月です。予想では作品賞は『スリー・ビルボード』で、監督賞はギレルモ・デル・トロ(『シェイプ・オブ・ウォーター』)なんですけど、どうなるんでしょうね。楽しみですね〜!
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