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空中秘密基地 2

映画や本の感想が中心です。当然ですが僕の主観と偏見で書いてます😁

映画は踊る!〜2月のレヴュー〜

映画

2月のレヴュー。基準はいつものように主観と偏見だけ。「どうか乾杯を 夢見る愚か者に」(‘Audition’ from “La La Land”)

今年のアカデミー賞はまさに前代未聞でした。歴史に残る場面を目撃できたってことでは面白かったのですが、『ラ・ラ・ランド』と『ムーンライト』の関係者には本当に気の毒だったなぁ〜と思わずにはいられない。両方とも観るべき素晴らしい作品なんですよ。日本のニュースやワイドショーではあの騒動のことしか報じてないのは本当に残念です。二作品の価値とは何の関係もないことです。ということでイチオシは『ラ・ラ・ランド』!この映画は魔法です。

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☆☆☆…観ないと後悔しますよ!
☆☆……ちょっと時間があるって時にどうぞ
☆………観なくていいかも
ザ・コンサルタント☆☆☆
ベン・アフレックは遂に当たり役を掴んだ!ストーリーのバランスとかアクションの見せ方とかすごく変なんだけど、クセになって何度も観たくなる。シリーズ化を強く希望。
『スノーデン』☆☆
→スノーデンの心の葛藤はよく描かれていたけ、物語にカタルシスが足りない感じ。実話ベースの映画だから仕方がないのかな。
ドクター・ストレンジ
→映像表現は確かに凄い!が、それ以上にストーリー的にはイマイチの感じです。期待値を上げ過ぎたか?ただマントはとっても可愛い。
マグニフィセント・セブン☆☆
→男の好きなものの全てが詰まっている。7人がそれぞれ黒人、白人、メキシカン、アジア人、ネイティヴ・アメリカンと雑多な人種で構成されているのが21世紀的。デンゼル・ワシントン(『七人の侍』で言えば志村喬)が戦いに参加するバックストーリーを付けたことで☆ひとつ減。
『アンチポルノ』
→僕にとってダメな方の園子温でした。
『14の夜』☆☆
→中学生達がHな妄想をしながらも、その妄想はオッパイ止まりだったり、自分が何者か分からず、親に反抗したりする姿に、35年前の自分を見るようで悶絶していた。映画館を出る時、僕はあれからどれだけ大人になったんだろうか?と夜空を見上げたのでした。
『ショコラ 君がいて、僕がいる』☆☆
→フランスで初の黒人芸人になったショコラと相方のフティットの物語。オマール・シーは良い役者だなぁ〜。どんな人だって笑われることと笑わせることは全く違う。そういうことを考えた。
『疾風スプリンター』☆☆
→ストーリーは、もうベタで、なんて言って良いか、少年ジャンプ的なラブコメ!でも自転車レースシーンは最高‼︎
『過激派オペラ』
→知人に2016年のベスト級と言われて観たのですが……。熱気は感じるんだけど、それが空回りしている印象。舞台だとまた感じが違うのかも。
『サバイバルファミリー』☆☆
→スクリーンの中の突然電気が使えなくなった世界を観ていて、今感じているこの違和感は何だろう?と考えていたんだけど、それが雑踏の音の有無であると分かった時、少し怖くなった。この映画もまた3.11後の世界を描いている。
『マリアンヌ』☆☆
→堂々たるラブロマンス!車や窓の使い方がオーソドックスだけど印象に残る。ロバート・ゼメキスは新作が公開されたら必ず観なければならない監督の一人だ。
虐殺器官☆☆☆
→難解な言葉を使っての台詞合戦がたまらなく好き!でも同時にその部分が原作未読者を置いてけぼりにするよなぁ〜とも思う。ハリウッドで実写化してくれると嬉しい。
『The NET 網に囚われた男』☆☆☆
→自分の意思に反して韓国に漂流してしまった北朝鮮の漁師の話。「ただ普通に暮らしたい」という主人公の願いが叶わない世の中っていったい……と暗い気持ちになる。邦題が全てを表している。
『ホワイトリリー』☆☆
→ロマンポルノ・リブートシリーズ5作品の中では最もロマンポルノらしい作品でした。監督は『リング』の中田秀夫。エロとホラーは脳内の同じところにあるのか?
『バック・イン・タイム』☆☆
→『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を生み出した人々、この作品を愛して止まない人々、そしてこれから好きになるであろう子供たちのための映画。
『ナイスガイズ!』☆☆☆
→1970年代後半のロサンゼルスが舞台で、汚職とポルノ産業が絡んでくるフィルム・ノワール。大好物です!ライアン・ゴスリングのダメ人間ぶりが最高。くっっだらないギャグに爆笑しながら、「俺だってたまには勝つさ」という台詞に涙。これこそハードボイルド中のハードボイルドだ。アンゴーリー・ライスのこれからに注目。
『愚行録』☆☆
満島ひかりの前に言葉を無くしてしまう。鬱々とした映画で嫌な気分になるけど、その「嫌さ」から目を離すことができない。
『I AM YOUR FATHER / アイアムユアファーザー』☆☆
→『スター・ウォーズ』ep4~6で、ダース・ベイダーの中の人として活躍したデビッド・プラウズは何故ある時期から「スター・ウォーズ」公式イベントへの出入りを禁止されてしまったのか?その真相を探るドキュメンタリー。映画で人生が変わった人は多い。たとえそれが幸せか不幸かは別にしても……。
『ラ・ラ・ランド』☆☆☆
→ラスト10分に涙を流さない人とは友達になれません!

3月はチアダンスを踊りながら、南の島に謎の巨大ゴリラを探しに行くのです!

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アジア映画だって負けない!〜1月のレヴュー〜

映画

1月のレヴュー。基準はいつものように主観と偏見だけ。2017年も素晴らしい映画に出会えますように。

『沈黙-サイレンス-』も観て欲しいのですが、今月一番のオススメは『ドラゴン×マッハ!』。たくさんの人が映画館に行って、アジア映画がもっともっと公開されるようになると嬉しいなぁ〜。

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☆☆☆…観ないと後悔しますよ!
☆☆……ちょっと時間があるって時にどうぞ
☆………観なくていいかも

ヒトラーの忘れもの』☆☆
デンマークにドイツが地雷を埋めて、戦後デンマークはその除去をドイツの少年兵達にやらせたという史実をベースにした映画。派手ではないが衝撃的だ。戦闘を描かない戦争映画の力作。鑑賞後にいろいろ調べて、背景により複雑なものがあることを知り、より言葉を失う。
『MILES AHEAD マイルス・デイビス空白の5年間』☆☆
ドン・チードルマイルス・デイビス愛が溢れている作品。決して史実どおりではないけど、マイルスのエッセンスはこの映画の中に確かにある。
『ダーティ・グランパ』☆☆
→思ってた以上にど下ネタが炸裂しまくりでしたよ。それをロバート・デ・ニーロが嬉々として演じているのが良い。でも演じているキャラクターの内面を語り始めると引き込まれる。やっぱりデ・ニーロは凄い。
『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』☆☆
→『シン・ゴジラ』のようなお役所段取り映画で、それぞれのやりとりが面白いんだけど、現代の実際の戦争がこうであるのかと思うと、背筋が寒くなる。
ドント・ブリーズ☆☆☆
→とにかく観ろ!としか言えない。全てのカットが意味を持っている。
『イエスタデイ』☆☆
→この映画の登場人物たちは『シング・ストリート』の少年たちのように才能も無いし、チャンスも活かせない。でも普通の日常ってこんなものだよ。彼らはもうバンドなんてやらないんだろうけど、ビートルズに憧れた日々は色褪せない。
『ホワイト・バレット』☆☆
→脚本は破綻気味だし、ラストの銃撃戦は既視感アリアリだけど、それでもやっぱりジョニー・トー。手に汗握ります。
『人魚姫』☆☆
チャウ・シンチーの映画としか言いようがない。ギャクとドラマのアンバランスさが最高だ。警察署のシーンと鉄板焼きのシーンは、涙を流しながら笑ってしまった。
『ドラゴン×マッハ!』☆☆☆
→ストーリーとアクションが見事に融合している。ここ何年かで観た香港アクション映画の中でもベスト3に入る作品。これが東京では1館でしかやっていないとはどういうことなんだろう。マックス・チャンvsウー・ジン&トニー・ジャーの戦いは、拍手をしたくなるほど素晴らしい!
『牝猫たち』☆☆☆
→『凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』以上に白石和彌監督の作品らしい。俳優陣もそれぞれ存在感があって見応えがある。
ネオン・デーモン
→途中まではとっても好きな雰囲気だったんだけどね〜〜。
『沈黙 サイレンス』☆☆☆
マーティン・スコセッシの「当時の幕府の彼らへの拷問は暴力だが、宣教師が持ち込んだ唯一の神も、日本人には一種の暴力だった」という言葉が全てです。観た人と語り合いたい。

2月はララ〜ララ〜〜と歌うのです。

星屑たちの戦い

映画

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(監督:ギャレス・エドワーズ / アメリカ 133分)

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【あらすじ】
帝国軍の誇る究極兵器デス・スターによって、銀河は混乱と恐怖にさらされていた。窃盗、暴行、書類偽造などの悪事を重ねてきたジン(フェリシティ・ジョーンズ)は反乱軍に加わり、あるミッションを下される。それはデス・スターの設計図を奪うという、困難かつ無謀なものであった。彼女を筆頭に、キャシアン(ディエゴ・ルナ)、チアルート(ドニー・イェン)、ベイズチアン・ウェン)、ボーティー(リズ・アーメッド)といったメンバーで極秘部隊ローグ・ワンが結成され、ミッションが始動するが……。(シネマトゥデイより)

今回はネタバレ全開で書いてます。まさかいないとは思いますが、まだ観てない!という人はココまでです。

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もう少し。まさかコイツに涙するとは思わなかった。

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最初に『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を作るって聞いたときは、いわゆるナンバリングされた正伝ではなくて、これまで概要だけは語られていたけど映像化はされていなかった物語(外伝)だという話だったんだけど、完成した本作は思ってた以上にep4の直前まで描かれていて、まさにSTAR WARS ep3.9という感じでしたよ。

ep1からep7までがスカイウォーカー家を中心とする「フォースを持つ者達」の物語であったとすれば、この『ローグ・ワン』は持たざる者達の物語です。

映画館でこの作品を観た時、はっきり言っちゃいますけど前半は退屈でした。同じようなところを行ったり来たりして話が進まない。こういうチーム物の作品って、最初はバラバラだった奴らがどうやって一体になっていくのか?ってところが楽しみの一つじゃないですか。でもローグ・ワンの連中が「よし!やっれやろう‼︎」となるまでの高揚する場面が描かれない。いつの間にかみんなで乗り込みことになっている。これじゃ面白くないですよね。だから終盤に仲間が次々と死んでいくのにイマイチ響かないのです。例えばジンの父親であるゲイレンが死ぬシーンでソウ・ゲレラの死を絡ませたりしたら、そしてそれがチーム感を出すキッカケになっていたとしたら、もっと物語に推進力がついたんじゃないかな?と思ったりもします。あんなんじゃフォレスト・ウィテカーの無駄遣いだよ。そういう展開だったら「七人モノ」映画としてももっとちゃんと成立していたんだけどね。(「七人モノ」については、『マグニフィセント・セブン』の時に詳しく)ローグ・ワンのそれぞれのメンバーがホントに個性的で素晴らしかっただけに残念です。

ドニー・イェン兄貴は言うまでもなく、「反乱軍の汚れ仕事をやらされていた男」キャシアン、「帝国軍を裏切ったパイロット」ボーティー、「チアルートと仲良し」ベイズ。良かったですね〜。フェリシティ・ジョーンズも同時期に公開されていた『インフェルノ』より何倍もイキイキしてるように感じましたよ。そして何よりもK-2SO!もうコイツのことが大好きですよ。

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こんな具合で前半は微妙だなと思ってはいたのですが、そうした欠点を補って余るほど後半の盛り上がりは素晴らしい。空中戦と地上戦が交錯する終盤はまさに手に汗握るって感じの大興奮でしたよ。AT-ATに味方がやられそうになった時、横からXウィングが助けに飛んでくる。スクリーに向かってガッツポーズをしそうになった。いや、ホントにしていたかもしれません。

前半と後半でどうしてこんなにも違う感じになったのか?もうオフィシャルになっていることなので書きますけど、本作は全体の40%の部分が再撮影されているのです。つまり興奮した後半の戦闘シーンは、ほぼ再撮影されてるんですね〜。だから特報やメイキングにあったシーンの多くが本編でなくなっていたりもしてます。当初ギャレス・エドワーズが撮ってたやつでは主人公達は生き残ることになってたりするらしいけど、ディズニーの幹部が観た最初の『ローグ・ワン』は本当につまんなかったみたいです。で再撮影を監督したのは脚本としてクレジットされているトニー・ギルロイ。こういう話を聞くとアメリカのエンタメ界は厳しいと思うね〜。今回はそれで正解だったと思います。

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まぁ、そんな裏の話は横に置いとくとして、僕たちがスクリーンで観ている『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』、STAR WARSシリーズの中でも傑作と言って良いのではないかと思っています。何よりもデス・スターの怖さとダース・ベイダーの禍々しさを復権させたこと。これだけでも『ローグ・ワン』には価値がある。ただ「STAR WARSシリーズとはデス・スターダース・ベイダーだ」ということも再認識させてくれた訳で、ep8とep9にはまたまた重い宿題が出たな…と思わざるを得ないのです。

あと本作で「チアルートってカッコいいな!」と思った人たちが、ドニー・イェン兄貴のファンになって、続々とシネマート新宿とか新宿武蔵野館に足を運んでくれるようになったら……と心から願うのですよ。

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2016年ベスト10 & ワースト3

映画

2016年のベスト10 & ワースト3、そして各部門賞です。僕の独断と偏見以外の何物でもありません。「俺の、私のベスト10と違う!」と言われても困ります。クレームその他は受け付けません‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎ (タイトルの後ろに◯印が付いている作品は、ソフト化されているものです。テレビに飽きたら、ぜひどうぞ!)

【ベスト10】
第10位 『アイアムアヒーロー』◯
「日本映画にしては……」という枕詞は必要なく、世界基準のゾンビ映画でありました。笑えるところと怖いところのバランスが絶妙。続編を期待。

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第9位 『ちはやふる』 上の句・下の句◯
青春映画として今年公開された作品の中では頭ひとつ抜きん出ていたんじゃないだろうか?「上の句」で必要以上に広瀬すず演じる主人公に焦点を当てなかったことが「下の句」で物語を加速させた。

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第8位 『サウルの息子』◯
クローズアップと手持ちカメラの映像が緊張感を嫌が応にも増していく。そして真に残酷なことは見られない。2016年必見の映画。

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第7位 『クリーピー 偽りの殺人』◯
日常の出来事の中で、ふとしたきっかけで見えてくる違和感。それを表出させるのが黒沢清という監督だ。怖いんだけどスクリーンから目を離すことができない。

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第6位 『ハドソン川の奇跡』◯
「品がある映画」とは、こういう映画のことです。

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第5位 『葛城事件』
ある意味で2016年の日本を描いている作品。「◯◯らしさ」っていうのは「呪い」なのだと思う。

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第4位 『シン・ゴジラ
9.11を経験してスピルバーグは『宇宙戦争』を撮り、3.11の「刺激」で庵野秀明は『シン・ゴジラ』を作った。

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ベスト3の前に、惜しくもベスト10に入らなかった作品です。「これがベスト10だ!」という人がいても強く同意する素晴らしい作品たちです。
『シング・ストリート 未来へのうた』
『ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー』
君の名は。
『オデッセイ』◯
ヘイトフル・エイト』◯
『何者』
デッドプール』◯
『ケンとカズ』
『SHARING』
『イット・フォローズ』◯etc……。

第3位 『海よりもまだ深く』◯
劇中のセリフがことごとく僕の胸に突き刺さり、今年の映画の中で最も主人公に感情移入してしまいましたよ。

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第1位 『ブルックリン』◯

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第1位 『この世界の片隅に

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第1位は同点で2本です。どうしても順位をつけることが出来ませんでした。『ブルックリン』を観て、18歳の時にひとりで東京に出て来た自分を思い出した。ヒロインの「忘れていたわ。この街はそうだった」というセリフは、2016年に最も胸をつかまれた言葉だった。『この世界の片隅に』は今後10年、20年、いや100年でも観続けられる新しい古典だと思います。

【部門賞】
最も印象に残った男優賞
古舘寛治
セーラー服と機関銃 -卒業-』『太陽』『海よりもまだ深く』『下衆の愛 - LOWLIFE LOVE』『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』『淵に立つ』

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2016年に一番映画館で顔を観た人じゃないだろうか?物語にアクセントをつけるのに欠かせないバイプレイヤーとなってきた。
最も印象に残った女優賞
広瀬すず
ちはやふる』「上の句・下の句」『四月は君の嘘』『怒り』

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彼女が少女から大人の女性へと変わっていく一瞬を映像に残せただけでも2016年には意味があった。今年の彼女は来年にはいないのだ。
最優秀予告編賞
『スーサイド・スクワット』◯


こんな感じの作品だったら……。次点はちはやふる』「上の句」でした。


最優秀エンドロール賞
『この世界の片隅に』


エンドロールでこんなに泣ける映画は初めてだった。ぜひとも席を立ちませぬように。
次点は『ゴースト・バスターズ』


最も映画館が多幸感に満ちていたで賞
らば あぶない刑事』◯
1年に1本も映画を観ないようなおじさんやおばさんが「あぶ刑事」「あぶ刑事」と言いながら劇場に入っていく姿は本当に幸せな光景だったのです。

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最優秀サウンドトラック賞
『シング・ストリート 未来へのうた』


特別賞-キャリー・フィッシャーの思い出に-
ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー』

【ワースト3】
第3位 『X-MEN: アポカリプス』◯

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第2位 『64 ロクヨン』前編・後編◯

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第1位 『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』◯

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2017年もドキドキワクワクする映画と出会えることを強く強く願うのです。

トムさんはつらいよ

映画

『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』(監督:エドワード・ズウィック / アメリカ 118分)

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【あらすじ】
元アメリカ軍のエリート秘密捜査官ジャック・リーチャーは、現在はたったひとりで街から街へと放浪の旅を続けている。ある日、ケンカ騒ぎの末に保安官に連行されそうになったリーチャーは、この騒動が何者かによって仕組まれたものだと気づく。元同僚のターナー少佐に会うため軍を訪れると、ターナーはスパイ容疑をかけられ逮捕されていた。ターナーを救い出したリーチャーは、軍内部に不審な動きがあることを知り、真相を探り出そうとするが……。(映画.comより)

リー・チャイルド原作の小説「ジャック・リーチャー」シリーズをトム・クルーズ主演で実写映画化した『アウトロー』(監督:クリストファー・マッカリー 2013)の続編。とにかくこの『アウトロー』って作品が大好きなんですよ!カット割りでアクションを見せるんじゃなくて、きっちりと闘っているところを描いてくれるところとか、地味だけど地に足がついているような雰囲気とか、夜のシーンの素晴らしさとか、挙げていけばキリが無いのです。主役であるジャック・リーチャーが醸し出す不思議な「コミュニケーションの不能感満々のムード」も大好物なのです。

だからすっごく楽しみにしていたんだけど、監督がエドワード・ズウィックに代わって「どうかな〜?」と一抹の心配をしていたんです。だって彼の作品を思い返してみると、あんまり印象が残ってない。良くも悪くも「普通の」作品て感じがするのです。『ラスト サムライ』とか……。

で、この『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』ですが、やっぱり「普通の」アクション映画になっていたのは、どんなにこのシリーズが好きな人だって否定は出来ないのです。ストーリーだって、すげーありがちな疑似家族ロードムービーだし。

でもですね!しかしですね‼︎ 僕はこの映画が嫌いになれない。トム・クルーズ演じるジャック・リーチャーが可愛いのです。人と話す時の距離が妙に近いリーチャー、女にはめっぽう弱いリーチャー、「あなたの娘です」と言われて目が泳ぐリーチャー、ちょっとしたドジを踏んで泡を喰らうリーチャー…etc。全てが可愛い。「可愛い」は最強なんですよ(©️みくりさん)。

トム・クルーズさんもですね、この人の名前を見ると半笑いになる人もいると思うんですよ。でもトムさんは、ホントに見事な役者さんなんです。この作品でも心情を説明するようなセリフはほとんど無くて、全てを表情のニュアンスだけで表現している。世間が思ってる以上に演技派なんです。もう一度言いますホントに見事です。

ラストで親指を立て、ヒッチハイクして去って行くリーチャー。このシーンは良かったですね〜。この時、僕の頭の中で流れていた音楽はコレ↓です。

「何を言ってるんだ?コイツは!」と思うかもしれないけど、この映画を観た人ならきっと賛同してくれるはずです。トム・クルーズがこんなにもフーテンが似合うとは思わなかった。「フーテンのトムさん」ですよ。この感じで3作目以降もお願いします。ただ監督はクリストファー・マッカリーさんに戻してもらえると、大変ありがたいのですが……。

思い出せば、かけがえのない日々

映画

『エブリバディ ウォンツ サム‼︎ 世界は僕らの手の中に』(監督:リチャード・リンクレイター / アメリカ 115分)

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【あらすじ】
野球推薦で入学することになった新入生のジェイク(ブレイク・ジェナー)は期待と不安を抱き、大人への一歩を不器用に踏み出そうとしていた。そう、今日は野球部の入寮の日だ。お気に入りのレコードを抱え、ジェイクが野球部の寮に着くと、4年生のマクレイノルズ(タイラー・ホークリン)とルームメイトのローパー(ライアン・グスマン)から、好意的とはいえない歓迎を受ける。高校時代、イケイケのスター選手だったジェイクに対する先輩方の洗礼だった。しかも寮生活をしている先輩方は野球エリートとは思えない風変わりな奴ばかり……。(公式サイトより)

前作『6歳のボクが、大人になるまで。』(2014)では少年の成長とその家族の物語を、実際に12年間の歳月を費やして撮影したリチャード・リンクレイター監督の新作。今度は大学入学直前の3日間を描く。

とても眩しいキラキラした青春映画でありました。登場人物がとても多いのに、それぞれが個性的に描き分けられていて、リンクレイター監督らしい、とても丁寧な作品。

アメリカの青春映画では卒業までの数日間やプロムまでの様子を描いたものは多い。でもこの作品は大学入学を3日後に控えた青年の話です。この設定は新しいね。しかも主人公たちは「ジョックス」、つまりイケてるヤツらなわけですよ。これも今まであまり観たことがない。彼らは野球部の選手で大学のスターだ。すぐに友達ができ、連夜のパーティーがあって、さらに恋人まで作ってしまう。こんな奴らが実際に側にいたら、速攻で大っっっキライになるけど、映画として観た時、彼らの立ち位置が作品世界をより輝くものにしてくれる。車で女の子をナンパしに行く時、カーステレオから流れる‘Rapper's Delight’をみんなでラップするシーンの多幸感ったら、この上ないのだ。

リチャード・リンクレイター監督は、一瞬を切り取るのが本当に上手い。それは20年間にわたって撮り続けている『ビフォア』シリーズでも、ひとりの少年が6歳から18歳になる12年間を実際に12年間かけて撮った『6歳のボクが、大人になるまで。』でも、そしてたった3日間の話である今作でも変わることがない。それは何事も起こらない日常だけど、そこに生きている者にとってはかけがえのない何かなのだということを鮮明にする。

劇中ではTHE KNACKの‘My Sharona’から始まり、BlondieやCHIC、Van Halenなどの1980年に世界中で流れていた音楽が、これでもか!って感じで聴こえてくる。そしてふとした拍子に訪れる静寂。この緩急が心地よいのです。

僕の大学生活はこの映画みたいな感じじゃなかったけど、それでも何か懐かしさを感じる。それがこの映画の魅力だと思うのです。

Rock’n Roll is a risk. You risk being ridiculed!

映画

『シング・ストリート 未来へのうた』(監督:ジョン・カーニー / アイルランド 106分)

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【あらすじ】
大不況にあえぐ85年のアイルランド、ダブリン。14歳の少年コナーは、父親が失業したために荒れた公立校に転校させられてしまう。さらに家では両親のケンカが絶えず、家庭は崩壊の危機に陥っていた。最悪な日々を送るコナーにとって唯一の楽しみは、音楽マニアの兄と一緒に隣国ロンドンのミュージックビデオをテレビで見ること。そんなある日、街で見かけた少女ラフィナの大人びた魅力に心を奪われたコナーは、自分のバンドのPVに出演しないかとラフィナを誘ってしまう。慌ててバンドを結成したコナーは、ロンドンの音楽シーンを驚かせるPVを作るべく猛特訓を開始するが……。(映画.comより)

ONCE ダブリンの街角で』(2007)、『はじまりのうた』(2013)に続くジョン・カーニー監督の新作。『はじまりのうた』は僕の生涯ベスト10に入る作品だったので、期待値を目いっぱい上げて映画館に行ったのです。あまりにもツボすぎて、ドハマリしてしまいました!

この作品は監督のジョン・カーニーの伝記的な話なんだけど、ジョン・カーニーさんや主人公は僕とほぼ同世代。主人公が1985年に15歳だから、僕は1歳上の16でしたね〜。今でこそ昔からザ・バンドとかビーチ・ボーイズとかフォーシーズンズetc…とかを聴いてたような顔をしてるけど、始まりはデュラン・デュランだったりする訳です。当時はちょうどMTVとかが流行りだした頃で、映画の中でも主人公の兄弟がデュラン・デュランRio」がかかるとテレビの前に飛んでくるというシーンがあるのですが、僕もまさにあんな感じだったよなぁ〜と記憶が蘇ってきたりして、「あ〜これは僕の話だ」ってなってしまったのでありますよ。

ONCE ダブリンの街角で』と『はじまりのうた』では主人公がちゃんとスキルのあるミュージシャンだったんだけど、『シング・ストリート』では主人公たちは全員がティーンエイジャーでほぼゼロからバンドを始める。この設定がとても良い。アマチュアであるが故に初期衝動から音楽へと向かう喜びがとらえられている。彼らがバンドとして音を出す瞬間、作品全体が瑞々しく、新鮮さに満ちたものとしてスクリーンに現れてくる。こういうシーンを描かせたらジョン・カーニーという監督は本当に上手い。『はじまりのうた』では、グレタ(キーラ・ナイトレイ)がライブハウスで弾き語りで歌い出すと、たまたまそこに居合わせた落ちぶれたプロデューサーのダンマーク・ラファロ)には様々な楽器が重なって聴こえる(見える)。


『シング・ストリート』では「UP」という曲を作る時、最初は主人公のコナーといろんな楽器が弾けるエイモンの二人で作り始めるんだけど、カメラが動いていくと、「ここでキーボードを入れたらいいね」ってところでキーボードの黒人の男の子がいたりして、時間もいつの間にか夜から昼に変わっていてバンドの演奏になっている。音がだんだんと分厚くなっていく高揚感がたまらなく心地よいのです。

コナーが新しいミュージシャンを知ると、すぐそれ風の曲を作ったり、ファッションを真似る展開も最高ですよ。だって10代ってそういうものでしょ!そもそもバンドの最初のオリジナル曲「The Riddle of the Model(モデルの謎)」はモロにデュラン・デュランというかニュー・ロマンティック・ブームの影響を受けてるしね。MVも「初心者が頑張って作ったみたいだけど、センスもあって面白い」というバランスが上手い!と思っちゃいますよ。

「Drive It Like You Stole It」はこの映画の中でいちばん好きな曲。これだってホール・アンド・オーツの「Maneater」を聴いて、すぐに「Maneater」風のビートとベースで曲を作ってる。この軽いところが微笑ましい。

このシーンは、コナーの思い描く理想と現実のギャップがハッキリと示されるシーンで、この作品のクライマックスのひとつ。音楽が流れている間は世界は調和に満ちているんだけど、音楽が終わると同時に、主人公は現実へと引き戻されてしまう。この理想と現実の乖離というモチーフは、この作品の底を一貫して流れているもので、それこそラストシーンも含めて、ただの前途洋々たるハッピーエンド……なのか?っていうところに落とし込んでいるあたりが、ジョン・カーニーは絶妙だな!って思うのです。

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バンドのメンバーを演じているのは演技初経験の人が多かったり、有名な役者さんは一人も出ていない。そんなキャスティングの中でも特に印象に残ったのはコナーのお兄さん役のジャック・レイナーさんでしたよ。彼がお母さんの背中を見つめて語るシーンとか、「どんなことでも天職さ」と言うシーンは本当に良かったですね。お兄ちゃんはコナーの全てを肯定してロンドンへ送り出してくれる。時代は違うけど同じアイルランドを舞台にした『ブルックリン』でもお姉さんはありったけの愛情を注いで妹をニュー・ヨークに送り出す。末っ子ってのは自由なものだけど、それを支えてくれる人がいるんですよね〜。僕だって'80UKロックを聴くようになったのは、姉弟のように育った従姉妹に付き合ってMTVを観てたからだったことを思い出したりして、しみじみしちゃいましたよ。

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ナイーブな少年が成長する物語であり、社会的に不遇な立場にある少年少女たちがポジティブにあがく話。ジョン・カーニー監督はそういうストーリーを音楽のプラスの面を信じて、積極的なものとして描いていく。彼は音楽を両手で持つ人だなぁ〜と思うのです。

間違いなく『シング・ストリート』は音楽を題材にした青春映画の新しい傑作として記憶される作品です。登場人物たちの将来は必ずしも明るいばかりのものではないかもしれない。でもかってそうであった者として、僕は彼らを全力で肯定したい。

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