空中秘密基地 2

映画や本の感想が中心です。当然ですが僕の主観と偏見で書いてます?

頑張った映画は面白い〜2月のレヴュー〜

2月のレヴュー。基準はいつものように主観と偏見だけ。今年も韓国映画が熱い!

殺人者の記憶法』『悪女/AKUJO』『コンフィデンシャル 共助』。聞いたことがない斬新な設定や観たことがないフレッシュなアクション、そして「いい顔」の男たち。韓国映画の魅力です。予算だけが問題なんじゃなくて、知恵を絞ってるのか?ってことだと思うのですよ。そしてちゃんと頑張った映画は面白いのです。

f:id:nunoyan1968:20180227212108j:image

f:id:nunoyan1968:20180227212117j:image

f:id:nunoyan1968:20180227215034j:image

 

☆☆☆…観ないと後悔しますよ!
☆☆……ちょっと時間があるって時にどうぞ
☆………観なくていいかも
『羊の木』☆☆
→まず原作とのビジュアルの違いに驚くけど、映画としてこの改変は正解。役者さんは全員が素晴らしく、日常の中に非日常が入ってくることの怖さや驚き、そして少しの喜びがすごく感じられた。特にこの作品の優香は、優香史上で最高の優香だ。
デトロイト』☆☆☆
→観終わった後、胸に渦巻く感情をどう処理してよいのか困った。これはアメリカの過去であると同時に、世界の現在を描いている作品だ。ただこの映画ではアルジェモーテルの事件にフォーカスして描いているので、ここから1967年のデトロイト暴動のことを調べてみるのが良いんじゃないかな?ドメスティックスにあんな過去があったなんて知らなかった。
ジュピターズ・ムーン』☆
→難民や宗教の問題を寓話的に描くという意図はわかるけど、それが物語として上手く消化されてない。少年が空を飛ぶシーンにワクワクするような高揚感があったして、迫力あるカーチェイスもあったりしただけに残念だった。
スリー・ビルボード』☆☆☆
→傑作!人間の不完全さを思い知らされる。夜、遅い時間に一人で観て、いろんなことを考えながら帰りたい。そんな映画。
殺人者の記憶法』☆☆☆
→何と言ってもアルツハイマーの連続殺人犯という設定がフレッシュだ。この設定があるからこそ虚実が入り交じる物語を可能にしている。そしてその役を見事に演じているソル・ギョングが素晴らしい。

『記憶の幕が下りる時』☆☆
→途中で犯人が分かったとしても、最後まで観ることが出来るのは、原作の持つ力だろうか?阿部寛の加賀恭一郎は最高の当たり役だ続編を希望するけど、それも東野圭吾次第か⁉︎
はじめてのおもてなし』☆☆
→描いている内容はシビアだけど、それをユーモアで包んで楽しい作品に仕上げているところが良いね。自分たちの国の在り方を誇りに思っている登場人物たちが羨ましくも思う。
ライオンは今夜死ぬ』☆☆
→前半は退屈だったけど、主人公と子供達がいよいよ映画を作るぞ!ってなるあたりから面白くなった。彼らがみんなでご飯を食べる場面にはホッコリする。食事シーンが楽しい映画は良い映画。
静かなふたり』☆
→好きな人は好きだろうなぁ…。もっと古書のことがテーマになっている物語なのかと思っていただけに、その要素がほとんど無く残念だった。静かすぎる作品だった。
悪女/AKUJO』☆☆☆
→冒頭からずっと力が入りっぱなしでスクリーンを凝視していた。ストーリーは惜しいけど、アクションがそれを十二分にカバーしている。そんな映画もあっていい。
犬猿』☆☆
→映画の最初から最後まで監督の人の悪さしか感じない(←最上級に褒めてます)。厄介な人を演じさせたら新井浩文の右に出る人はいない。回想シーンは余計だった。
今夜、ロマンス劇場で』☆
→物語内のルールがよく分からず、ノイズになって楽しめなかった。確かに綾瀬はるかは可愛かったのだが、彼女もフィルモグラフィーはこれで良いのだろうか?そろそろ『海街diary 』のような等身大の役を演じる頃だと思う。

マンハント』☆
ジョン・ウー的要素は満載なんだけど、ただそれだけだった。追いかけっこのスケールも小さいしね。僕たちの好きだったジョン・ウーはもういないのか?
RAW〜少女のめざめ〜』☆☆
カニバリズムの映画であると同時に家族愛の映画であり子供が大人になる成長を描いた映画でもあった。それだけに最後のわかりやすすぎるオチは安易で残念。
『コンフィデンシャル 共助』☆☆☆
→同じ「国境を越えたバディ映画」として『マンハント』の遥か上をいく作品だった。観るならコッチだ。アクションとサスペンス、笑いのバランスが絶妙!

不能犯』☆

→「愚かだねぇ…人間は」マンガやアニメではOKなセリフも実写では滑稽でしかないことを再認識させられた映画。
『ロープ 戦場の生命線』☆☆
→理不尽と徒労感に満ちたこの世界だけど、そこをユーモア(と少しの諦め)で乗り切っていくのが大人でしょ!という映画だった。ベニチオ・デル・トロティム・ロビンスの掛け合いが楽しい。
『わたしたち』☆☆
→子供は天使なんかじゃなく、ある時は大人以上に残酷だということを思い出した。でもそれを見つめる監督の視線は繊細で優しい。もう僕たちが忘れてしまった世界がスクリーンの中にあった。
『聖なる鹿殺し』☆☆☆
→様々なメタファーにあふれた作品。何度も観て、誰かと語り合いたいと思える作品だった。音楽が物語を述べる上で重要な役割を果たしている。
グレイテスト・ショーマン』☆☆
→ストーリーの粗さを音楽の素晴らしさがカバーしている。でもミュージカルで最も大切なのは音楽だから、それで良いんじゃないかな?
ローズの秘密の頁(ページ)』☆☆
→『あなたを抱きしめるまで』と同じように、今まであまり語られることのなかったアイルランドの「歴史の暗部」を描いた映画だった。ルーニー・マーラを観るだけでも映画館に行く価値がある。

 

ホーム映画館の一つである横浜シネマリンで「大林宣彦監督傑作選 特集上映」をやっていたので、久しぶりに『ふたり』『あした』『あの、夏の日~とんでろ じいちゃん~』を観た。毎日泣いていた。この新・尾道三部作の頃の大林作品が一番好きだ。そりゃ昔は中嶋朋子とか石田ひかりとか高橋かおりとかの側から観てましたけど、今じゃベンガル岸部一徳峰岸徹嶋田久作に感情移入して泣いてしまいますよ。増田恵子につい…とかね。これが年齢を重ねたってことでしょうか?そのうち植木等とか小林桂樹の域に達することが出来るんだろうか?

f:id:nunoyan1968:20180228221227j:image

f:id:nunoyan1968:20180228221236j:image

f:id:nunoyan1968:20180228221247j:image

『ふたり』がいかに素晴らしい映画だったのか!ということを、このスチール写真以上に語ってくれるものはない。自分にとって大林宣彦作品のベストだ。実加は幸せに暮らしているんだろうか?と思ったりもする。また映画館で観ることができて本当に良かった。

f:id:nunoyan1968:20180228221444j:image

新・尾道三部作の少し前の作品である『異人たちとの夏』ぐらいから、大林監督の映画には「死」がより表に出てくるようになった感じがする。そしてそれは『花筐』までヴァリエーションを変えながら、ずっと続いているものなのだなぁ。

 

3月はアカデミー賞の月です。予想では作品賞は『スリー・ビルボード』で、監督賞はギレルモ・デル・トロ(『シェイプ・オブ・ウォーター』)なんですけど、どうなるんでしょうね。楽しみですね〜!
f:id:nunoyan1968:20180228222316j:image

f:id:nunoyan1968:20180228222327j:image