空中秘密基地 2

映画や本の感想が中心です。当然ですが僕の主観と偏見で書いてます?

私は決して後戻りはしない〜12月のレヴュー〜

12月のレヴュー。基準はいつものように主観と偏見だけ。

2018年は音楽映画が豊作な年だった。そんな今年の最後を飾るのが『アリー / スター誕生』。今作で4回目の映画化。前へ進んでいこうとする女と古いものにしがみついて生きていこうとする男の物語。ストーリーは同じだけど、それでも何か心に残る。何年たっても人間が抱えてるものは同じなんだろうね。何よりも流れる音楽が素晴らしい。曲が強い。映画館を出た後、CDショップへ走ってしまうこと間違いなしなのだ!

f:id:nunoyan1968:20181229115208j:image

 

☆☆☆…観ないと後悔しますよ!
☆☆……ちょっと時間があるって時にどうぞ
☆………観なくていいかも
エリック・クラプトン〜12小節の人生〜』☆☆
エリック・クラプトンがどういう人なのか?がよくわかるドキュメンタリー。パティ・ボイドの美しさは時代を問わないね。二人の偉大なミュージシャンのミューズであったことも納得。またライブに行きたくなった。来日してくれないかなぁ。
『ヘレディタリー / 継承』☆☆☆
→登場人物、セリフ、風景、音楽…全てが怖い。そしてそれらが、アッと驚く結末に集まる脚本が見事だ。複線の確認のためにもう一度観たいけど、怖くて無理です。新しいホラー映画の傑作。
『ポリス・ストーリー REBORN』☆☆
→想像していた「ポリス・ストーリー」ではなかったし、はっきり言ってストーリーは穴だらけだけど、ジャッキーがニコッと笑ってくれるだけで満足です。エンドロールでのNG集も健在。
『ハナレイ・ベイ』☆☆
村上春樹原作の映画化では最もよく雰囲気を表現できていたのではないだろうか?セリフに頼らず主人公の心情を表現する吉田羊の演技に目が釘付けになる。波の音のBGMも素敵だ。
『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』☆☆☆
長回しを多用し、静かに物語は流れる。その背景には常にひとつの家がある。本作は場所についての映画だった。タイトル通りにある幽霊の物語を突き放したような視点で描く。それだけに彼が浄化された時に涙せずにはいられない。終わりは終わりではない。存在していたことに意味がある。
『斬、』☆☆☆
塚本晋也監督初の時代劇だが、「何かをきっかけに人が変容していく」というテーマはこれまでの塚本作品と通じるものがある。刀を極めて性的に描いている。池脇千鶴は彼女史上最高にエロい!
いつだってやめられる 7人の危ない教授たち』☆☆
→登場人物それぞれのキャラも立っているし、ストーリー展開のテンポも良い。何より研究者たちによるケイパーものという設定が面白い。
いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』☆
→三部作の二作目として大団円のために話を広げることは理解できるが、ただそれに終始していてストーリーに起伏が感じられなかった。
アンダー・ザ・シルバーレイク』☆

→意味不明の長いカットがストーリー展開を邪魔している。また主人公のどういう了見で行動しているのか理解できず、その人物造形に不愉快ささへ感じてしまったのです。ポスターが好きな感じだっただけに残念だ。
『パッドマン 5億人の女性を救った男』☆☆☆
→内容は真面目でメッセージ性の強い映画だけど、それを上手にコメディへと昇華させている。男のなんて無理解なことか!恋愛映画としても素敵でした。
『来る』☆
→役者陣の演技は良い。今ダメ人間をやらせたら、妻夫木聡の右に出る者はいない。松たか子演じる霊能者の人物設定は秀逸。ただ『ヘレディタリー / 継承』と同じ題材を描いているはずなのに、ホラー映画として全く怖くなかった。
『おとなの恋は、まわり道』☆☆
→面倒くさく、こじらせまくりの二人の会話がだんだんと心地よくなっていくから不思議だ。ジョン・ウィックのままのキアヌ・リーブスがおかしい。
『嘘はフィクサーのはじまり』☆☆
リチャード・ギアのようなベテランの名優が肩の力を抜いて演技をしている姿を観るのが好きだ。コメディかと思いきやラストはほろ苦い。
『メアリーの総て』☆☆☆
→これもまたフィクションを書くことで自分を取り戻していく人間の話でありました。エル・ファニングの目の強さが主人公の人物像によく合っている。

シュガー・ラッシュ:オンライン』☆☆

→前半の宝探しの冒険のような話から、後半の友情についての話への転換が見事だった。インターネットの擬人化が面白い。何だかんだ上手く丸め込まれた気がしないでもないけど、老若男女が楽しめる作品であることに間違いはない。

『アリー / スター誕生』☆☆☆

→まったく男ってヤツはよぉ……。ハタとこれは『シュガー・ラッシュ:オンライン』と同じ話だということに気がつく。女性は常に前へ進んで行くのだ。歌手としてのパフォーマンスは勿論だけど、女優としてのレディ・ガガも素晴らしい。ブラッドリー・クーパーの初監督とは思えない手堅さにも驚く。さすがはクリント・イーストウッドの薫陶を受けただけはある。

『家へ帰ろう』☆☆

→ホローコーストをなんとか生き延びた老人が旧友との約束を果たすためにポーランドに旅立つ。最初は本当に偏屈だった主人公が次第に他人と打ち解けるようになる。何歳になっても一人で旅をすることは、自分の内面と向かい合うということだ。ラストの笑顔で全てが報われた気持ちになった。

『泣き虫しょったんの奇蹟』☆☆

→将棋のルールに疎い者にもちゃんと勝負のアヤを理解させてくれる撮り方が良い。『来る』とは全く異なる松たか子が凄い。

『マイ・サンシャイン』☆☆

→ロサンゼルス暴動の一夜を描いた作品。絶望しかないように思われるけど、それでもコミュニティの中には光があるんじゃないだろうか?非寛容からくる恐怖の連鎖。まさにトランプ時代の映画だ。

『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』☆☆

→三部作の最終作。相変わらずのマシンガンのようなイタリア語の会話に意味がわからなくても笑ってしまう。登場人物全員の専門分野が均等に生かされてストーリーが進んで行く構成は、チーム映画好きにはたまらない。研究者としての矜持が事件解決のカギになるところも好き。

日日是好日』☆☆☆

樹木希林さんの遺作。静かな静かな映画。「季節のように生き」、「毎日が良い日」と言えるように暮らしたいと心から思う。

 

2019年1月は『クリード 炎の宿敵』、コレしかないのだ!スタローンは今作を最後にロッキー・シリーズから離れるとのこと。これまでへの感謝とともに最後の勇姿を見届けたい。『アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー』しかないです。

f:id:nunoyan1968:20181229115733j:image

f:id:nunoyan1968:20181229115753j:image