空中秘密基地 2

映画や本の感想が中心です。当然ですが僕の主観と偏見で書いてます?

その勇気に拍手を〜7月のレヴュー〜

7月のレヴュー。基準はいつものように主観と偏見だけ。

『新聞記者』

まずはこのタイミングでこんな内容の映画を世に出したスタッフ、キャスト、配給、映画館などなど関わった全ての人々に拍手したいと思います。113分、ずっと手を握りしめて観ていました。余計なものは何もなくグレーな画一的な色調で統一された内閣府と雑多で混沌としているけどどこかに生命力を感じる新聞社のデスクの対比が印象的だった。

現状への怒りとか明日への活力が湧いてくる作品ではあったけど、同時に『大統領の陰謀』や『ペンタゴンペーパーズ』のように局地戦では勝利しても、世の中の裏側にいる大きなものに対しては敗色が濃いジャーナリズムの姿を知っている者としては、あーまたか……という気分にもなりました。

最後に松坂桃李さんの顔がアップになった時、メールの着信を知らせる音がします。あれは奥さんから子供の写真が送られてきた音なんじゃないでしょうか?だとしたら上司にいろんな圧力をかけられた彼が家族のために心変わりをしたとしても、誰も責めることは出来ないですよ。実際には官僚の中にも家族のために…って人はいるんじゃないでしょうか?そうした心の変化を表情だけで演じていた松坂桃李さんは素晴らしいものでした。

主人公の女性について日本人の女優さんが出演を断ったという話がまことしやかに流れているけど、自分としては日本と韓国のダブルで帰国子女という設定にすることにより、外部から見た日本社会という視座が獲得されて、日本の不条理な歪さがより強調される結果になったと思っています。シン・ウンギョンさんは「へー、『サニー』のあの子がね〜」と思って観ていました。出演作をそれほど追っていなかったので、これから観ていきたいと思ってます。ラストの彼女の決意に満ちた顔はこの映画の希望だと思います。

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☆☆☆…観ないと後悔しますよ!
☆☆……ちょっと時間があるって時にどうぞ
☆………観なくていいかも

◎は旧作
『神と共に 第二章:因と縁』☆☆
→第一章以上に複雑に、かつ壮大になっていくけど、ちゃんと伏線も回収され、物語をちゃんと閉じている。良作。4時間を越えちゃうけど第一章に続けて観たいね。
『新聞記者』☆☆☆
→邦画でこんな映画が観られるなんて!今だからこそ多くの人にこの物語を映画館で目にして欲しい。
『無双の鉄拳』☆☆
→「舐めてた相手が実は……」映画(©︎ギンティ小林)だけど、マ・ドンソクを舐めるヤツなんて、この地球上に存在しないでしょwww でも彼の笑顔を見るためだけに映画館に行く価値がある。
『イメージの本』☆☆
ゴダール健在!いくつもの解釈が可能だ。観た人と語り合いたい。
『COLD WAR あの歌、2つの心』☆☆☆
→無駄なカットは一つもなく、そこにこの上なく美しい音楽が流れる。主人公ふたりの強さ、脆さ、儚さ全てに目を奪われてスクリーンに釘付けにならざるを得ない。

『ゴールデン・リバー』☆☆
→無骨な西部劇であると同時に、ほっこりする家族の物語でもある。ジョン・C・ライリーの名前を覚えて帰ってください。
トイ・ストーリー4』☆☆
→「子供にとってオモチャとは?」という話かと思っていたら、「人はどうやって生きていくべきか?」という人生最大の問題を真正面から描いている作品だった。ピクサーからジョン・ラセターへの惜別の言葉に思えた。
『さらば愛しきアウトロー』☆☆
ロバート・レッドフォードの引退作にふさわしいとてもとても上品な作品。楽に生きずに楽しく生きる主人公の姿に、僕もこういう爺さんになりたいと思う。
『天気の子』☆☆☆
→『君の名は。』よりも好きだなぁ。映像の美しさは言うまでもないです。強い選択をする主人公たちの幸せを思わずにはいられない。新海監督の作品は、台詞回しに小劇場演劇の趣があって、そのリズム感が好きなんだよね。

『ハーツ・ビート・ラウド  たびだちのうた』☆☆
→まずレコード屋さんが舞台だという設定が好きだ。ただ音楽映画の重要な部分である「音楽が産まれる瞬間の喜び」が十全には描かれていなかった。そこが残念。
メン・イン・ブラック  インターナショナル』☆
→期待外れだった……。車からいろんな武器が出てくるシーンは好きかな。

『旅のおわり世界のはじまり』☆☆

→おそらくオールロケで、自然光の下で撮られたと思うけど、それでも黒沢清監督らしい光の使い方にハッとさせられた。ラストの前田敦子に説得力が少し欠けていたところが惜しかったね。

◎『八甲田山』☆☆☆

→4Kデジタルリマスター版ということで、春夏の八甲田山の美しさと冬の厳しさの対比がより際立つ。兵士がバタバタと倒れる姿が怖い。子供の頃は何度か夢に出てきた。僕のトラウマ映画です。案内人役の秋吉久美子さんの笑顔は、凄惨なシーンが続くこの作品にあって、唯一ホッとできる。

◎『愛と青春の旅立ち』☆☆

→軍曹の立ち居振る舞いはやはりカッコいい!ブロマンス映画でもある。

◎『ブルース・ブラザーズ』☆☆☆

→この映画が好きで本当に良かった❗️破壊されまくるショッピングモール、数えきれないクラッシュする車、加速度的にめちゃくちゃになっていく状況。全てが最高‼︎ そして何よりもジョン・べルーシとダン・エイクロイドの体技の軽やかなことよ。あるシーンでのサングラスを外したべルーシの瞳。あれは反則だよ。布団をかけてあげたりする兄弟愛もさりげなく描かれていて良いね。物語に何の関係なく出てくるツィッギーがとてもキュートなのだ。出演者には、もう亡くなっている人が多いけど、ジェームス・ブラウンアレサ・フランクリンレイ・チャールズの歌声が一本の映画の中で聴けるのは嬉しいね。映画館で観てこその作品。

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8月は『ワイルド・スピード / スーパーコンボ』ですよ!車とヘリコプターが闘います。暑い時はこういう映画が最高だよ‼︎‼︎

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