空中秘密基地 2

映画や本の感想が中心です。当然ですが僕の主観と偏見で書いてます?

こんな世の中だけど〜3月のレヴュー〜

3月のレヴュー。基準はいつものように主観と偏見だけ。

しばらく映画館に行けなくなる。

薄暗い劇場の椅子に座って、スクリーンに精神を集中する。椅子に座ってるのはそれぞれ別々の個人だけど、その瞬間はそれぞれを離れ、目や耳を通じて一つのものを受け入れる。そしてまたそれぞれがそれぞれの感じ方で自分のものにしていく。それはその場所にいる者にしか得ることが出来ない感覚だ。

映画は観客と映画館があって初めて映画になるのだと思っています。

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☆☆☆…観ないと後悔しますよ!
☆☆……ちょっと時間があるって時にどうぞ
☆………観なくていいかも

◎は旧作
『ミッドサマー』☆☆☆

アリ・アスター監督の前作『ヘレディタリー / 継承』と同じく、今作もまた何かを受け継ぐ物語。私たちは自分とは異なる論理で動いているものにこそ真の恐怖を感じるのだ。2020年の最重要作の一つ。
レ・ミゼラブル』☆☆☆
→様々な断絶により生まれる悲劇。どちら側に立つ者も同じコミュニティーの構成員であるという矛盾。僕たちの社会は危うさの上に成り立っていることを感じざるを得ない。ラストショットに震えた。
『彼らは生きていた / ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド』☆☆☆
第一次世界大戦のニュースフィルムを現代の技術でデジタル処理することで、史上最悪と呼ばれたヨーロッパ戦線が具体的に像を結ぶ。副題がこの作品の全てを表している。

『淪落の人』☆☆
→ゆっくりと進む時間が、主人公二人の心が通い合う過程と相まって、穏やかな気持ちにしてくれる。とかく自由にモノが言えなくなった香港映画のために無償で出演したアンソニー・ウォンに拍手を。
『娘は戦場で生まれた』☆☆☆
→戦場で生まれ育ったために、爆弾の音では起きず泣きもせずスヤスヤ寝ている。そんな子供が生まれるような世の中は間違っている。

『初恋』☆☆
→久々のThe三池崇史映画でした。大満足!
『ジュディ 虹の彼方に』☆☆
→当時は合法であったとしても……。ジュディ・ガーランドはあんなに重い荷物背負いながら、あの歌声を聴かせてくれていたのか。とあるシーンの舞台が『オズの魔法使い』のセットであることがより鬱々としてしまう。レネー・ゼルヴィガーの演技は流石!としか言えない。
『風の電話』☆☆☆
ロードムービーは良い。人は孤独であろうとしても、誰か他者と交わらないでは生きて行けないのだ。

『音楽』☆☆

→なんて言って良いのかわからないけど、次第にバンドの音がカッコよく思えてくるから不思議だ。

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』☆☆☆

→「知性とはこういうものだ!」とガツンと説教を喰らってるみたいでしたよ。出てくる人全てが素敵だ。

『スウィング・キッズ』☆☆☆

→生きる喜びが湧いてくるとともに、歴史の重さも伝わってくる。両者のバランスをエンタメ作品として昇華するカン・ヒョンチョル監督の手腕に脱帽。物語の構成も上手い。ラストにあのシーンへ切り替わった時、拍手したくなった。

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