空中秘密基地 2

映画や本の感想が中心です。当然ですが僕の主観と偏見で書いてます?

僕にとって何が幸せであるかについて

今週は木曜日、金曜日と続けて演奏会へ。コロナ禍の中で開催にご尽力してくださった関係者の皆さまには感謝の言葉しかありません。とても楽しく幸せな時間でした。言うまでもありませんが、両方の演奏会ともできる限りの対策をして行われました。

 

歌うことは僕にとって幸せなことです。最初に楽譜を見たときは「難しそうで歌えないよなぁ〜」と思っていても、毎日コツコツと少しづつ練習していると、ある日突然歌えるようになっている自分がいる。この瞬間の喜びは何事にも変えられないものです。でもこの一年はそれが満足にやれていないのです。コロナが少し収束し練習が出来るようになっても、また非常事態宣言が発出されて中止になる。この繰り返しです。僕はプロじゃないし、アマチュアのコンクール出場を目的にしている訳でもない。でもそんな自分でも仲間が集って自由に声を合わせていた頃は、なんて幸せだったんだろう……と思わないではいられません。「この曲はつまんないから、練習サボっちゃおうかな?」なんて思っていた自分には猛省を促したい気持ちでいっぱいです。

 

木曜日の演奏会はアマチュア合唱団によるF.メンデルスゾーンの『エリヤ』。大曲です。金曜日はプロの合唱団が歌うシュッツをメインとした小さなモテット集でした。テイストは全く違うけど、ホールで響いてくる音に体を委ねるという快楽は変わるものではありません。ただ僕が音を出す方にいないということに悔しさを感じてしまうのです。

 

そろそろ客席で聴いてるだけってのにも飽きてきた!

小さなことでもいいから、何かやれることを考えよう!!

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*写真は5月21日にSalicus Kammerchorの演奏会が行われた豊洲シビックセンターホール。このホールの演奏会は夜が良い。

マットが活躍し始める頃〜余白にちょっと〜

5:30起床。カーテンを開けると久しぶりの太陽の光が眩しい。8:00からクレアの散歩。アスファルトが熱くなっているので日陰と芝生の所を選んで歩く。途中で馴染みの犬仲間に会ったけど、話題は「熱くなったね」ばかり。本来だったら散歩すると最も気持ちの良い時期だったんだけどね。季節の進みが確実に一ヶ月は早い。家に帰ってアルミ製のひんやりするマットを出す。クレアは即座にそこで伏せをした。やっぱり暑かったんだんだ。このマットが活躍し始めると夏になりつつあることを実感する。今年はどんな夏になるんだろう?長いのかな?

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*写真は同じマンションの住人の方が世話をしている薔薇。子供の頃から花を世話するということに興味がなかった僕としては、こうして咲かせられる人はただただ尊敬するしかないのです。

 

 

 

灯が戻った!

昨夜は国立演芸場で「真一文字の会~春風亭一之輔勉強会〜」を聴いた。久しぶりの落語会。

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昨夜のネタは全て一之輔師匠では初めて。この落語会は「勉強会」と銘打ってるように普段はあまりやらないネタをかける事がある。「テレスコ」もコロナで休んでいた間にさらったネタで、夕べがネタおろしだったそうだ。途中で話は脱線に次ぐ脱線をこれでもか!ってくらい繰り返すんだけど、終わってみるとその脱線が落ちのフリになっている。いや〜笑わせてもらいましたよ。最近嫌なことが立て続けにあって、クサってたけど、笑ったら少し楽になった。

 

これで演芸場は都内の定席寄席も合わせて開くことになった。これは素直に嬉しい。でも映画館や美術館・博物館は今も閉館しているところが多い。萩生田文部科学大臣は国会答弁で「演芸場がOKで映画館がNGの理由を説明できない」と言ったらしいけど、それは行政の責任者の言葉としてはありえないよね。関係者のみなさんだってコロナが感染拡大すれば良いと思ってるわけじゃないし、対策だってしっかりやっている。閉館するんだって行政が基準を示して、補償をしっかりしてくれるんだったら協力すると思うんだよね。誰だって霞を食べて暮らしてるんじゃないんだよ。

 

まぁ、それは別にして、やっぱりライヴが好きだってことを再確認した。演者さんを始めとして関係者の皆さまが懸命に努力をして会を開いてくださったんだから、今度はこちら側が最新の注意を払って楽しむ番だ。

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*写真は昨夜の演題と終演後の国立演芸場の入り口にある提灯。もう二度とこの灯が消えることがあってはならない。

本屋さんに入ると〜余白にちょっと〜

7:00起床。8:00にクレアの散歩に出る。今日は暑い。少し歩いただけで汗をかく。Tシャツが似合う季節になってきたね。今日はThe Beachboysの『Smile』がプリントされたものをチョイス。

 

散歩中はPodcastかラジオを聴いているんだけど、その中で書店の倒産が急減し、2020年度は過去最低を更新したとのニュースがあった。コロナの影響で飲食店やらイベント関係の会社やらが潰れている話はよく耳にするけど、そんな中にあってこの本屋さんの件は数少ない良かった影響だ。僕の家の近所でも昔は本屋さんが3軒あったが、今では一つだけになってしまった。確かにamazonは便利だし、僕もよく利用している。でも本屋さんの魅力はこれとは全く別にあるよね。お目当ての横にある本をタイトルに惹かれて手にとったり、表紙がカッコいいから買ってしまう…なんてことは本屋さんでしか体験できないことだ。それに本屋さんが無くなったら、「本屋さんに入るとトイレに行きたくなる」という本屋アルアルも言えなくなっちゃうじゃない!という訳で(?)今日も家に新しい本がやってきたのです。

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*写真は散歩から帰って、あまりに気持ちが良かったので、ベランダにテーブルを出して本を読み始めたときのもの。こういう時は濃いレモンティーを用意します。やらなきゃいけないことは全て後回しなのさ。

A LONG VACATION〜余白にちょっと〜

6:00起床.。クレアの散歩は8:00から。ゴールデン・ウィークも終わりかな?昨日まで関東地方に入り込んでいた寒気も抜けたらしく、太陽の光も暖かくまさに5月らしい。

 

約1時間半歩いて帰宅。片付けやら原稿書きやらで何かと忙しい。そんな時のBGMは最近はずっと大瀧詠一さんの『A LONG VACATION』だ。僕が大瀧さんのことを知ったのは1983年頃だから、このアルバムのリリースには間に合っていない。当時は山下達郎さんやYMOが好きで、その縁で知ったんじゃなかったかな?達郎さんのラジオに時々出演していて、「いろんなことをよく知ってるおじさんだな〜」とか「みんなにリスペクトされてるっぽいけど誰だ?」って感じだった。『A LONG VACATION』も最初に聴いた時は「良い曲がたくさん入ってるな」と思ったものの、そんなに繰り返して聴くことはなかったのです。でもそれからいろんな洋楽を聴くようになり、このアルバムの重要性が段々と理解できるようになりましたね。そして当時は入手困難だった大瀧さんの旧譜を集め、いっぱしのナイアガラーを気取っていた。若気の至りとは言え恥ずかしくて汗顔の至りです。

 

大瀧さんが亡くなって7年。先日ラジオで達郎さんが「ようやく大瀧さんのことを語れる心境になって…」と仰っていたのが心に残ります。

 

僕にとって大切な一枚だ。きっとこれからもずっとそうだ。

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*写真は2021年3月21日にリリースされた『A LONG VACATION VOX』。CD4には大瀧さんが松田聖子に書いた「いちご畑でつかまえて」と「FUN✕4」を大瀧さん自らマッシュアップ(当時はこんな言葉は無かった)した音源が入っている。当然ですが未発表です。これを聴くことが出来ただけで買って良かった。

掃除の神様は来なかった〜余白にちょっと〜

5:00に目が覚める。今日はこれといった予定がないのでもう少し寝ようと思ったんだけど、クレアがスヌーズ機能がついた目覚まし時計のように鳴いて起きろ!と言い続ける 。根負けしてベッドから出る。このクレアとの戦いに勝てたことはない。テレビでニュースを見ていてもイライラするばかりなので、いつもより時間が早いけどクレアの朝散歩に行くことにする。5月らしい綺麗な青空だ。こういう空だと心も楽しくなるね。起こしてくれたクレアに感謝。公園には犬連れが何組もいて、飼い主も犬も挨拶を交わす。今日はフレンドリーな人ばかりで良かった。そうじゃない場合もけっこうある。朝から無愛想な人に会うと一日中パッとしない気分になるから嫌なんです。

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午前中は部屋の片付けをするつもりだったけど、掃除の神様が訪れなかったので、結局は手元にあった今週号の週刊文春を読んでしまった。半藤一利さんの特集が面白かったので良しとしよう。2021年になってまだ4ヶ月だけど、ことし亡くなった人の中で半藤さんが一番残念だ。半藤さんのような人を本当の保守というのだ。この何年か若い頃から好きだった人が次々と旅立っていく。まるで現在の日本に愛想を尽かして別れを告げているように感じられてならない。

午後は原稿書き。世間はゴールデンウィークだけど、僕にはあまり関係ないなあ。いつものことなんだけどね。

*写真は公園のベンチで向こうからやってくるトイプードルをじっと見ているクレアのバックショット。 

 

「誇り」について〜4月のレヴュー〜

4月のレヴュー。基準はいつものように主観と偏見だけ。

2ヶ月遅れで開催されたアカデミー賞。作品賞はノマドランド』でした。この映画は「誇り」についての映画だと思います。人にとって譲れないものは何か?それについて考えさせられます。ただ本作に登場するノマドワーカーの殆どが白人であることは指摘しておかねばならないと思います。確かに彼らは貧困の中で生きているのかもしれない。でも黒人を始めとする有色人種はノマドワーカーにさえなることは出来ない。彼らがそんなことをしていたら、確実に逮捕され、最悪の場合は殺されるかもしれない。アメリカ社会のそういう現実も忘れてはならないと思っています。

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☆☆☆…観ないと後悔しますよ!
☆☆……ちょっと時間があるって時にどうぞ
☆………観なくていいかも

◎は旧作
ノマドランド』☆☆☆
ノマドワーカーは大半を60代以上が占めている.。これはやはり行き過ぎた現代資本主義が生み出した負の産物だろう。それでもスクリーンに映し出される顔はどこか清々しい。自由を得た人間の顔だ。僕も別れの言葉は「さようなら」ではなく「またな」と言いたい。そこに孤独に見えるノマドワーカーたちの絆があるのだろう。背景に映し出されるアメリカの自然の広大さと美しさに目を奪われる。ぜひともスクリーンで観てほしい。あと映画会社に一言。この映画にはパンフレットは必須です。今からでも作ってほしい。

トムとジェリー』☆☆
→クロエちゃんが出演する作品はすべて劇場で観る主義です。最高に可愛い(特に近年ではピカイチ!)のクロエ・グレース・モレッツと最高にキュートなマイケル・ペーニャを観ることができます。『トムとジェリー』は昔からいつもトムが不憫だと思っていたけど、本作でもそのテイストは変わらず。実写とアニメを融合させた作品としては、アニメパートを過度に

リアルに表現していないながらも全く違和感がない。技術の高さに驚嘆する。コロナじゃなかったらデートムービーとして最適だったろうな…。それが残念だ。  
ビバリウム』☆☆
→寓話的。悪夢のような感じがするのは、人間の生というものが悪夢だからだろうか?それでもそこに喜びを見出すことが生きるということなのか?と考えてしまう。

『パーム・スプリングス』☆☆☆
→人生は多かれ少なかれループしている。楽しけりゃそれで良いじゃないか?って思うけど、やっぱりそれだけじゃダメだよね…という気分にさせてくれる映画。過去は更新できるんだ。お気楽だけどどこか諦めてる男を演じているアンディ・サムバーグが最高。
『幸せへのまわり道』☆☆
→今のように殺伐とした世情だからこそ多くの人に観て欲しい映画。人生に大切な教訓があちこちに散りばめられているけど、ストーリー展開のテンポが良く、押し付けがましさを感じさせない。今更だけどトム・ハンクスは凄い。

『ドリームランド』☆☆
マーゴット・ロビーの彼女らしい魅力がたっぷり。前半のストーリーテリングに冗長さを感じたが、最後まで観るとその冗長さがアメリカ南部の重苦しい閉塞感を醸し出しているのだと思えてくる。
『街の上で』☆☆☆
→最初はちょっと間が長いかな?と感じる会話も次第に心地よくなり、あぁ今自分は今泉監督の映画を観ているのだな…という思いに満たされる。物語の背景を必要以上に描かない今泉監督の語り口も好きです。青の大きな目で凝視しているようで、何も見ていない気がする表情。それが作品の浮遊感を醸し出していたんじゃないだろうか?そういう意味で若葉竜也さんあってこそ映画でした。
『騙し絵の牙』☆☆
→テンポも良く、俳優陣もハマリ役で楽しく観ることができた。4月公開では一番のデートムービー。吉田大八監督の(作中のもの音を含めた)音楽の使い方の上手さは今作でも健在。それがまた楽しさを増してくれる。

『スタートアップ!』☆☆

→何よりもおかっぱ頭のマ・ドンソクがすべてを持っていってしまう。これはズルい!そこに目を奪われてしまうけど、パク・ジョンミンがすごく良いです。
『ザ・バッド・ガイズ』☆☆
→『スタートアップ!』よりもマ・ドンソク的要素は多めです。それだけで生きていくための活力は十分に摂取できます。ストーリーは予想通りといえば予想通りだけど、この映画ではそんなことは関係なく、個性的な登場人物たちが大暴れするのをただただ楽しめば良いのです。ラストの大乱闘は手に汗握る。

『AGANAI  地下鉄サリン事件と私』☆☆
→さかはら監督の対象に迫る手法や映画としての語り口は必ずしも賛成できるものではなかったけど、やはりこれは観るべき作品でした。あの一連の出来事が何だったのか?ということを考えています。1995年という年はいろんな意味において戦後が終わり、2021年の世界に直接つながる回路が開かれた年だと思っています。
『ブックセラーズ』☆☆
→やっぱり紙の本は良いです!という思いを強くする。たくさんの本が並んでいるのを観るだけで幸せになります。表紙を開いて最初の文字に目を落とし、時代にその世界の中に入っていく……あの瞬間が快感なんです。あと本作はエンドロール担っても席を立ってはいけませんよ。

SNS−少女たちの10日間−』☆☆☆

→幼い顔立ちの18歳以上の女優が「12歳・女子」という設定でSNSに友達募集をしたところどうなったのか?を映し出したチェコのドキュメンタリー。ショッキングだった。知識としては知っていたつもりだったが、実際に映像を観せられると唖然とする。子供たちはこんな危険と隣り合わせで生きているのか?SNSで少女に連絡してくる大人の殆どがいわゆる小児性愛者ではないことに驚く。それでは彼らの目的は何なのか?弱いものを服従させたいというドス黒い欲望なのか?SNSを遮断すれば危険は減る(無くならないけどね)かもしれないが、現代社会ではそれは不可能だ。それではどうすればよいのか?答えは浮かんでこない。 

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5月の楽しみはなんと言ってもゴジラvsコング』だったのですが……コロナによる非常事態宣言発出で公開延期。僕は何を縁に生きていけば良いのでしょう?

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