空中秘密基地 2

映画や本の感想が中心です。当然ですが僕の主観と偏見で書いてます?

Violence can never stop expressing!〜5月のレヴュー〜

5月のレヴュー。基準はいつものように主観と偏見だけ。

相変わらず東京・大阪の映画館の大半が休館となっている影響で、新作映画の公開数が激減している。人が街に出るのを抑えるってのは理解できるけど、じゃあ劇場やイベントはOKで、映画館はNGだというのはいくら考えても納得いかない。大手のシネコンはまだしも、ミニシアターはやっていけないよ。ミニシアターこそが映画の多様性を保証してくれるものなのにね。

ミニシアターの楽しみの一つにドキュメンタリーを観ることがある。ドキュメンタリー映画はこの世の中にはまだまだ知らいないことがたくさんあるってことを教えてくれる。そういうドキュメンタリー映画を積極的に公開している横浜シネマリンで、作品の上映に反対して右翼が押し寄せるという事件があった。『狼をさがして』という映画だ。横浜シネマリンは脅迫にも負けず最期まで上映した。僕はテロリズムには絶対に反対だけど、(たとえ自分の意に沿わないとしても)暴力で表現することをやめさせようとする行為にも断固反対だ。

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☆☆☆…観ないと後悔しますよ!
☆☆……ちょっと時間があるって時にどうぞ
☆………観なくていいかも

◎は旧作
『21ブリッジ 』☆☆
→映画として新しさがあるわけではないけど、1970年代のアメリカンサスペンス映画を受け継ぐ秀作。そこしっかりと現代的な問題点を入れているところも良い。地面も常に濡れてます。上映時間が90分台というのもこのジャンルの映画では大切なことです。脇役にも演技派の俳優を配し、彼らの物語としても観ることができるが、やはりチャドウィック・ボーズマンの存在感に圧倒される。彼の演技がもう観られないことは悲しい。フォーエヴァー−−−!!!!!

『BLUE/ブルー』☆☆☆
→𠮷田恵輔監督が両手でしっかり持っていることが強く強く伝わってくる作品。瓜ちゃんをはじめ、登場人物がみんなどこかで幸せに暮らしていると良いなぁ…と思う。

『狼をさがして』☆☆
→1970年代に連続企業爆破事件を起こした東アジア反日武装戦線のメンバーの現在を追うドキュメンタリー。韓国人監督が撮った映画だとは知らずに観た。対象に過剰な思い入れがなされていない点は良かったけど、淡々とした印象であったのも事実だ。当時の学生運動が過激化していく過程を知るにつれ、彼らの思想や闘争手法における戦略などがいかに稚拙で幼稚だったかと思わざるを得ない。そもそもテロリズムには断固反対だ。メンバーの一人が長い刑期を終えて出所するところでこの映画は終わる。最後に彼女に何か語って欲しかった。また「反日」という言葉がこの40年で意味が全く異なるものになったことに驚く。

『フィールズ・グッド・マン 』☆☆
→自分の作ったキャラクラーが意図せず人種差別主義者や白人至上主義者のアイコンになってしまい、それを取り返すために苦闘する原作者を追ったドキュメンタリー。編集のテンポが良く、原作者とキャラクターのカエルを重ね合わせる描写も好きです。インターネットにおける著作権のあり方も考えさせられる。どんなに小さなことだと思っても、芽は摘んで置かなければならない。近い将来、日本でも憲法改正が議論されるであろうが、その際に必ず同じような問題は起こる。「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉を思い出した。

『ビーチ・バム  まじめに不真面目』☆☆
→最初から最期まで主人公のムーンドッグはいろんなモノに酔ってるんだけど、ストーリーが進むに連れ、観ているこちら側にもその酔が回ってきてムーンドッグのことが大好きになっていることに気がつく。コロナで鬱屈とした毎日が続いているけど、そんな時でも超ポジティヴであれ!というメッセージがスクリーンからビシビシ伝わってくる。話は違うけど、アメリカの映画やドラマを観ていると、詩人という存在が社会で尊敬されている描写がよく出てくる。大統領の就任式でもアマンダ・ゴーマンさんが詩を朗読したことは記憶に新しい。そんな社会こそ文化的と言えるんだろうと羨ましくなる。

『ジェントルメン』☆☆☆
→面白い!ガイ・リッチー映画である感じが満載!!ジョークを交えた会話劇の背後で事件が進行する……彼にはやっぱりこういう映画を撮って欲しい。誰も信用出来ない、いつ誰が裏切るのかって話は大好きだけど、その中でもコイツらだけは仲間だって話はもっと好きです。マシュー・マコノヒーが『ビーチ・バム』とは180度違うビシッと決めた役柄で、これも良いなぁと思ったりして。あとミシェル・ドガリーが素敵でならない。

『ファーザー』☆☆☆
→スクリーンに映っているもの全てに意味がある。特に色彩が語るものは大きい。迷宮に入ったような感覚に陥るけど、色彩の変化をたどると、この映画が何を描写しているのかが分かってくる。何と言ってもアンソニー・ホプキンスの演技!素晴らしいという他に言葉がない。これを観るだけで映画料金を払っても良い。
『ライド・ライク・ア・ガール』☆☆
テリーサ・パーマーサム・ニールの親娘関係の微妙さを過剰にならずに描いているのが良い。エンドロールでのミシェル・ペインの発言(実際の彼女の映像)を観ると、競馬界の男尊女卑についての描写がもう少しあっても良いんじゃないか?とも思う。馬の体躯、競馬場や牧場の緑が美しい。ラストのレースシーンは結果を知っていても応援してしまう。これだけでスポーツ映画としては満足なのだ。

◎『ハローグッバイ』☆☆

→青春映画は出演している若い俳優さんたちがその時しか表現することが出来ない強さや脆さ、儚さをスクリーンに映し出す。本作での萩原みどり、久保田紗友もそうだ。とても小さな話だけど、その時代を生きている者には大きく切実なものだったことを思い出す。3世代の女性が一つの画面に映るシーンがある。それが人生というものか?

◎『るろうに剣心』☆☆

佐藤健をはじめとして役者陣のアクションには目をみはる。谷垣健治さん、さすがです!原作の一部を映画化しているので、原作を読まずに本作を観るとストーリーが把握しづらいかもしれない。まあ、そこは長い目で付き合っていきましょうよ。

◎『るろうに剣心  京都大火編』

→アクションは前作からパワーアップ!一人対多人数の戦いは面白いなぁ。画面の奥にいる人までちゃんと意味のある動きをしている。『伝説の最期編』に続くストーリーのため物語を広げまくっているので散漫な印象だけど、それは仕方ないよね。原作は未読ながら、このキャスティングは最高じゃないか?

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6月は映画館はどうなっているんでしょうね?ゴジラvsコング』はいったい何時になったら観ることが出来るんでしょうか?……と書いていたら7月2日から公開決定とのニュースが!勝つのはどっちだ⁉ でもその前に楽しみにしている作品もあるんです。それはクワイエット・プレイス  破られた沈黙』と『RUN / ラン』なんですね〜。

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