空中秘密基地 2

映画や本の感想が中心です。当然ですが僕の主観と偏見で書いてます?

星屑たちの戦い

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(監督:ギャレス・エドワーズ / アメリカ 133分)

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【あらすじ】
帝国軍の誇る究極兵器デス・スターによって、銀河は混乱と恐怖にさらされていた。窃盗、暴行、書類偽造などの悪事を重ねてきたジン(フェリシティ・ジョーンズ)は反乱軍に加わり、あるミッションを下される。それはデス・スターの設計図を奪うという、困難かつ無謀なものであった。彼女を筆頭に、キャシアン(ディエゴ・ルナ)、チアルート(ドニー・イェン)、ベイズチアン・ウェン)、ボーティー(リズ・アーメッド)といったメンバーで極秘部隊ローグ・ワンが結成され、ミッションが始動するが……。(シネマトゥデイより)

今回はネタバレ全開で書いてます。まさかいないとは思いますが、まだ観てない!という人はココまでです。

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もう少し。まさかコイツに涙するとは思わなかった。

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最初に『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を作るって聞いたときは、いわゆるナンバリングされた正伝ではなくて、これまで概要だけは語られていたけど映像化はされていなかった物語(外伝)だという話だったんだけど、完成した本作は思ってた以上にep4の直前まで描かれていて、まさにSTAR WARS ep3.9という感じでしたよ。

ep1からep7までがスカイウォーカー家を中心とする「フォースを持つ者達」の物語であったとすれば、この『ローグ・ワン』は持たざる者達の物語です。

映画館でこの作品を観た時、はっきり言っちゃいますけど前半は退屈でした。同じようなところを行ったり来たりして話が進まない。こういうチーム物の作品って、最初はバラバラだった奴らがどうやって一体になっていくのか?ってところが楽しみの一つじゃないですか。でもローグ・ワンの連中が「よし!やっれやろう‼︎」となるまでの高揚する場面が描かれない。いつの間にかみんなで乗り込みことになっている。これじゃ面白くないですよね。だから終盤に仲間が次々と死んでいくのにイマイチ響かないのです。例えばジンの父親であるゲイレンが死ぬシーンでソウ・ゲレラの死を絡ませたりしたら、そしてそれがチーム感を出すキッカケになっていたとしたら、もっと物語に推進力がついたんじゃないかな?と思ったりもします。あんなんじゃフォレスト・ウィテカーの無駄遣いだよ。そういう展開だったら「七人モノ」映画としてももっとちゃんと成立していたんだけどね。(「七人モノ」については、『マグニフィセント・セブン』の時に詳しく)ローグ・ワンのそれぞれのメンバーがホントに個性的で素晴らしかっただけに残念です。

ドニー・イェン兄貴は言うまでもなく、「反乱軍の汚れ仕事をやらされていた男」キャシアン、「帝国軍を裏切ったパイロット」ボーティー、「チアルートと仲良し」ベイズ。良かったですね〜。フェリシティ・ジョーンズも同時期に公開されていた『インフェルノ』より何倍もイキイキしてるように感じましたよ。そして何よりもK-2SO!もうコイツのことが大好きですよ。

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こんな具合で前半は微妙だなと思ってはいたのですが、そうした欠点を補って余るほど後半の盛り上がりは素晴らしい。空中戦と地上戦が交錯する終盤はまさに手に汗握るって感じの大興奮でしたよ。AT-ATに味方がやられそうになった時、横からXウィングが助けに飛んでくる。スクリーに向かってガッツポーズをしそうになった。いや、ホントにしていたかもしれません。

前半と後半でどうしてこんなにも違う感じになったのか?もうオフィシャルになっていることなので書きますけど、本作は全体の40%の部分が再撮影されているのです。つまり興奮した後半の戦闘シーンは、ほぼ再撮影されてるんですね〜。だから特報やメイキングにあったシーンの多くが本編でなくなっていたりもしてます。当初ギャレス・エドワーズが撮ってたやつでは主人公達は生き残ることになってたりするらしいけど、ディズニーの幹部が観た最初の『ローグ・ワン』は本当につまんなかったみたいです。で再撮影を監督したのは脚本としてクレジットされているトニー・ギルロイ。こういう話を聞くとアメリカのエンタメ界は厳しいと思うね〜。今回はそれで正解だったと思います。

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まぁ、そんな裏の話は横に置いとくとして、僕たちがスクリーンで観ている『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』、STAR WARSシリーズの中でも傑作と言って良いのではないかと思っています。何よりもデス・スターの怖さとダース・ベイダーの禍々しさを復権させたこと。これだけでも『ローグ・ワン』には価値がある。ただ「STAR WARSシリーズとはデス・スターダース・ベイダーだ」ということも再認識させてくれた訳で、ep8とep9にはまたまた重い宿題が出たな…と思わざるを得ないのです。

あと本作で「チアルートってカッコいいな!」と思った人たちが、ドニー・イェン兄貴のファンになって、続々とシネマート新宿とか新宿武蔵野館に足を運んでくれるようになったら……と心から願うのですよ。

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